死亡保険を解約、携帯は格安スマホに、サプリ代も節約…

加藤さんの場合は老舗の大手メーカーということもあって、デスクに保険会社の営業が回ってくるらしく、そこでも言われるがままにいくつも契約。まだ30代前半で独り身にもかかわらず、医療保険、がん保険、所得補償保険、死亡保険に入っており、よくわからない特約もびっしりついていました。

保険設計書とハートのオブジェ
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

また、細かな節約をするわりに通信費の高いキャリア携帯を使っていたり、旅先ではお土産代に歯止めがかからなくなることも。加藤さんを見ていると、小さな節約には敏感でも、大局的なところでお金を増やす機会を見逃していてもったいないように感じました。

そこで、お金の使い方と資産の整理に着手。儲かっていないとはいえ、投資信託で200万円もあれば独り身なので問題ないと判断し、死亡保険など、いくつかの保険を解約してもらうことにしました。加えて、キャリア携帯も格安スマホに切り替え、サプリなどのお金も抑えてもらったところ、これだけで月3万円の削減につながりました。加藤さん自身、財テクに興味はある方なので、アドバイスを受ける相手次第だったのだと思います。

今もまだ運用を続けている投資信託については、時期を見て売却し、他の商品に乗り換えすることをおすすめしました。それこそ、つみたてNISAもiDeCoもやっていないので、そこからでいいのかなと思います。

お金への知識は「信頼できるソース」をたくさん持って備える

加藤さんはお話していても逐一、「はいっ、はいっ」と返事を返してくれるような、真面目で素直な方。将来への不安も大きかったので、今後に備えたい一心で保険や投資にお金をつぎ込んでいたのでしょう。

ただ、どうしても保険会社や銀行からの提案は利益がらみのことが多いので、それだけを鵜呑みにするのはおすすめできません。かといって、銀行同士で商品を比較してもあまり大きな差はないので、ネット銀行と比較するなど、対面販売ではないパターンも検討してみるといいでしょう。

金融商品はリスクもありますから、ネットの取引に抵抗を感じる人もいると思います。窓口とネット、それぞれメリットデメリットがあるのも事実です。その一方で、今はインターネットでも金融庁や東京証券取引所といった、信頼のおける公的機関などが初心者向けの情報をたくさん発信しています。東京証券取引所が運営する『東証マネ部!』にはビギナーにおすすめの投資情報も載っているので、参考にしてみるといいと思います。

ひとつの意見を鵜呑みにすることなく、信頼できるソースをたくさん持つこと。それこそが、金融リテラシーの向上、ひいては資産形成につながっていくのではないでしょうか。

(構成=小泉なつみ)
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