“最後の働き場所”にぶちこまれた

大手機械メーカー 課長クラス 大西保次(仮名) 42歳●30代半ばにして、周囲が50代ばかりの「最後の働き場所」に異動し、何年も雑用係に。しかし、時代の趨勢で部署が脚光を浴び始め、今では希望者を選ぶまでに様変わりした。実直で時に消え入りそうな声で質問に応じるが、沈痛な雰囲気はまったくない。

大手機械メーカー勤務の大西保次さん(仮名、42歳)は30代半ばまで、女性ばかりの部下4人の営業部門で働いていた。

主任クラスだった大西さんの悩みは「30歳前後のクセのある女性ばかり」4人の間で頻発する“派閥抗争”だった。

「常に3対1なんですが、役員とつながりがある1人のほうが強気。互いに揚げ足を取ったり、突き落としたり。『あっちはこう言った』『こっちはこう言った』で振り回され、大変でした」

それでも仕事は回さなければならない。上司は見て見ぬふりで協力しないから、大西さんはそう遠くないうちに異動があると踏んでドライに対応していたが、それが現実のものとなったときはがっくりした。

「監査部門にぶち込まれました。社内で大きなトラブルがあって、そのあおりで新設された部署です。しかし、普通の会社なら基本的に“最後の働き場所”といわれていた部署。海外から戻って一時的に在籍する人を除けば、うだつの上がらぬ50代が25~26人。30代は主任の僕1人で、当時としては珍しかった」

メンバーは、たいがい「上司と喧嘩した」「体を壊した」「事件を起こした」の3パターンのうちどれかに当てはまった。

「私は“抗争”から離れて清々しましたが、彼女たちをマネジメントできなかったことで管理職失格の烙印を押されたようです」

ラインから外れ、“オジ捨て山”に来たことを実感した。転職も考えたが、外はとてもそんな状況ではない。いつになっても“若手”と呼ばれ続け、雑用ばかり散々やらされた。