「買っておこう」の動きは加速化するだろう

EUでは2035年にも、ガソリン車の新車販売を禁止する方針だ。メルセデスベンツは2030年の新車販売を全車EVにするという。米国でも同様の動きがあり、日本も早晩追随することになる。ポルシェのタイカンに代表される高級外車のEV化は、この先他のラグジュアリーブランドでも進むことになるが、ターボエンジンや、ガソリン車独特のエンジン音は、代替できないものだ。

筆者も、こうした車を運転する際には、車内で音楽やラジオを聞いたことがない。エンジン音そのものがそれだけ心地よく魅力的なのだ。

テスラを含め、EV車がくまなく広がるには、走行距離や品質に加えて充電スポットの問題などもあり、まだ少し、猶予期間はありそうだ。外苑西通りにまだ少ない理由でもある。それならば、海外旅行もいけないなか、甲高いエグゾーストサウンドを奏でる高級外車のガソリン車をコレクションに加えておこう、買っておこう、という動きが、コロナ禍のカネ余りのなかで、この先さらに加速する可能性もある。もともと販売台数が限定的な高級外車やガソリン車の希少性が増せば、ますます「希少品を手に入れたい」というニーズをかき立てることになるのだ。

EV化の流れは、この先間違いなく来そうだ。また、環境や都市の在り方や交通事故防止の観点から、パリのように東京都心も、制限速度30km以下といった規則が導入されたり、自動運転やシェアリングが本格的に進んだりすることも予想される。車は、安価でシェアする街乗りEVと、高価で資産として保有し、私設サーキットで飛ばす高級外車とに二極化するのではないだろうか。外苑西通りの富裕層は、後者の動きを先取りしているのかもしれない。

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