外資エグゼクティブ、実業家、有名人が多い地域柄

都内には他にも目黒通りや世田谷の環八沿い、青山通りなど高級外車ディーラーが軒を連ね、その界隈に富裕層が多く住み、高級外車が多い通りはある。外苑西通りは何が違うのだろうか。一つの背景として、これら高級外車を所有するであろう外苑西通り界隈の富裕層に特徴があるのだ。丸の内や大手町の大企業のサラリーマン社長や中小企業などのオーナー社長より、外資系企業のエグゼクティブ、実業家・事業家、スポーツ選手・芸能関係者などが多い。情報感度が高く、インターナショナルだ。

新しいもの好き、他人と同じは嫌ながら、名門や学歴に関係なく実力で財を築いた富裕層も多く、その分、ブランドや歴史的なものにより惹かれる側面もあるとみている。車でいえば、日本車やアメ車よりも、ベントレー、ロールス・ロイス、アストンマーチン、ランドローバー、ポルシェなど欧州の歴史と名声ある最高級ブランド車が好まれるというわけだ。

アンティークなヨーロッパの地図
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「世界的なカネ余り」でお金が高級外車に向かう

実際に、高級外車の販売は好調だ。日本自動車輸入組合(JAIA)によると特に、昨年(2020年)、日本全体で2台しか売れていない超高級外車ブガッティは、今年(2021年)1月~6月の半年で既に4台も売れている。ちなみにブガッティ・シロンの価格はベース価格で3億円超えだ。

ロールス・ロイスの今年(2021年)6月の販売台数は、前年同月比6台増加の29台。ベントレーはSUV効果もあり、同16台増加の83台、アストンマーチンも同じくSUV効果もあり同19台増加の35台、マクラーレンが同1台増加の20台、フェラーリが同54台増の121台、マセラティが同55台増の145台と、1000万円台を超え、2000万円、3000万円台の高級外車が、いずれも過去最高水準の月間販売台数となるほど売れに売れているのだ。

こうした爆売れの背景には、「世界的なカネ余り」がある。コロナショックにより、日米欧では、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられている。このため、世界中で、株式市場や不動産市場にカネが流れ込み、溢れたおカネが、資産価値の上昇を見込み、デジタルアート、高級腕時計、高級ワイン、装飾品、トレーディングカード、そして高級外車にも流れ込んでいるのだ。こうした金融緩和の恩恵を最も受けるのは、すでに資産・資金を十分に持ち、その資産・資金を元手にさらなる投資や購入ができる富裕層となるわけだ。