評価されたいなら評価する人になる

さらにいうと、自分が「評価される人」になりたいなら、自分も評価する人になることです。相手をよく評価すれば、必ず自分もよく評価される人になります。

もちろん部下は上司の仕事ぶりを評価できる立場ではありません。ですから、上司への評価というのは、結果ではなく、そのプロセスを承認したり、気づいたりして言葉にするということです。

両足院 副住職 伊藤東凌さん。「相手が自覚していないことまで気づいて評価し、言葉にしていくことが大事」と話す。
両足院 副住職 伊藤東凌さん。「相手が自覚していないことまで気づいて評価し、言葉にしていくことが大事」と話す。(撮影=水野真澄)

たとえば「昨日の○○さんの話、すごくよかったです。あの一言で、みんなの雰囲気が変わりましたよね」「メールの返信、すごく早くてびっくりしました。ありがとうございます」といったこと。これなら上司に対しても言えますよね。

それだけでなく「挨拶から気持ちよかったです」「立ち姿がきれいでした」など、本人ですらそのアクションを自覚していないだろうという細かいところまで、評価して具体的に言葉に落とし込んでいきます。

ゴマすりと思われてもいい

ゴマすりに見えてしまいそうですが、これはゴマすりと思われてもいいぐらい、コミュニケーションにおいて重要なことです。気づきという自分の能力を最大化し、その人の有形無形の波及効果を全部把握しようとしているからです。

「あなたがいてもいいよ」から一歩進んで、「あなたがいてくれてこういういい流れになった」ということを、言葉にしてきちんと伝えていけるのは、上級レベルのコミュニケーションです。これこそ、みんなが違いを認め合える、ダイバーシティの根幹になるものではないでしょうか。

評価されたい人が、今すぐすべきことは相手を「評価する」、たったこれだけです。そうすると、あなたの気づき力に対しても、社内の評価が高まっていきます。

そして他人を評価する人間を極めていけば、おそらく自分が評価されているかどうかは気にならなくなるでしょう。