眠気を感じたときに、人はどんなまばたきをするか
眠気を測るうえで注目したのは、“まばたき”の変化。メガネに自然な形で眼電位センサーを搭載するためには、眼の動きを継続的に捉えるための電極を、当時主流だった“4点式”から、メガネの鼻パッド両サイドと眉間部分の“3点”に減らす必要がありました。
同時に、「眠気を感じた際、どんなまばたきをするか」のパターンを習得するため、「僕たち自身も何度も被験者になり、幾度となく実験と検証を繰り返しました」と一戸さん。
苦労の末に生まれた初代ジンズ ミームは、3点式の眼電位センサーに加えて、体の傾き具合などを検出する6軸モーションセンサーも搭載。眠気の判定だけでなく、体幹チェックやランニングフォームの測定など次々と新しいサービスを打ち立て、「メガネを通して“外”でなく“内側(自分)”を見られる」などと話題になりました。
バッテリーの小型化、軽量化に着手
一方で、当時は価格が約4万円と比較的高価だったこと、またデザイン上の制約もあったためか、「初代のユーザーは、おもに30~50代のガジェット好きな男性がメインだったようです」(一戸さん)
そこで、JINSの開発チームは「よりメガネに近づけたい」との思いから、今度はセンサーやバッテリーの小型化、軽量化、かけ心地の向上などに着手します。「デザイン性向上のため、とくにこだわったのが、バッテリーの小型化」だと話すのは、JINS MEMEのクリエイティブディレクターを務める、ONEinc(ワンインク)の岩原一平さん。
初代は、できるだけバッテリーの“持ち”を長くするため、メガネのツルの部分(内側)にも専用コードなどを這わせていました。それでも、当時のいわゆる「ウエアラブルデバイス」よりは自然な見た目でしたが、フレームにゴツさが残り、どうしてもかけ心地が良いとは言えない。
そこで、過去のビッグデータなどから「この部分は、常時データを取得・送信(計測)せずに計測頻度を減らしても、ほぼ同じ結果が得られる」などを洗い出し、バッテリー稼働をできるだけ減らすよう工夫。
その結果、メガネのツル部分に搭載していた6軸モーションセンサーやバッテリーを小型化することができ、すべてを鼻パッド周りに集約(JINS MEME CORE)することに成功したのです。