人間の本質が邪悪なら、こんなに栄えていない

もちろん、今現在、親子に厳しい風潮があり、弱い者いじめをする卑劣な人がいることは事実で、とても悲しいことです。でも、実は数は少ないだろうと思います。そういう人は特別に声が大きく、あまりにひどいので目立ってしまうだけ。例えば、インターネット上のレビュー欄やコメント欄には、おおむね同意する人の意見は書かれにくく、強い反感や悪意を持った人のほうが書き込みやすいといった傾向があるだろうと考えられます。

人を信じることが難しくなってしまった時には、ぜひルトガー・ブレグマン『Humankind 希望の歴史』(文藝春秋)という本を読んでみてください。「人間は極限状態になったら他人を押しのける本能がある」と、とかくシニカルに捉える態度が現実的だと思われています。ニュースでは数が少なく危険性の高いものがよく報道されます。従来、リアルだとされる文学作品、心理学の実証事件、事件報道はそのように伝えられてきたからです。

しかし、人間の本質がそんなに邪悪だったら、種としてこんなに栄えていないでしょう。この本には、私達は危機的なときこそ、本当は支え合ってつながり合うものだということが書かれています。つながり合い助け合うことが多いからこそ、私達は生き残り、地球上で繁栄しているのです。他人とつながり合うためには、思ったことを口にする、感じたことを伝えるということが大事です。困ったり大変だと思ったりしている人は、周囲に伝えてみましょう。私はこの本を読んで、人というものは性悪説・性善説と真二つに分かれるものではなく、性善説寄りの明るいグレーなんだと思いました。メディアが脅威を強調するほどには、世の中は悪くないし、少しずつよくなり続けていると感じます。

手と手
写真=iStock.com/Ritthichai
※写真はイメージです

いつの時代も未来を作るのは子供たち

誰もが誰かから生まれ、保護者や周囲の人に世話をしてもらって成長し、やがて大人になります。いつの時代も、社会のお荷物だと思われがちな子供たちが、未来を作っていくのです。そして、面と向かってひどい言葉を投げかけてくるのは、たった一部の人たちだけ。相対的に見たら、優しい人たちのほうが多いのです。だから、たまにおかしなことを言ってくる人がいても、萎縮しないで子育てしていきましょう。私は、すべての子供が生まれてきたことを祝福され、保護者だけでなく周囲にも大事にされて育っていく社会になるよう、親子に優しくありたいと思っています。

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