もう一方の端には、マンゾーニが「自分が管理者だということを自分自身にも他人にもはっきりさせずにはいられない病的なマイクロマネジャー」と呼ぶ人々がいる。この種の上司は、部下に自主的に行動する自由をほとんど与えず、部下の仕事のあらゆる細部に干渉しようとし、全体像よりもフォントサイズのような細かい点を気にする。

「マイクロマネジャーは管理することしか考えていない。上司が、その地位にある人が本来目を向けるべきレベルよりはるかに下の細かい点に干渉してきたら、その上司はマイクロマネジャーだと思ってよい」と、チャットマンは言う。

反抗よりも信頼感が処方箋になる?

マイクロマネジメントに反抗するのは逆効果だと、2人の専門家は口をそろえる。「部下がなんらかの形で反抗したら、上司はその部下は信頼できないと判断して、もっと干渉するようになるおそれがある」と、マンゾーニは言う。抗議したくなるのは無理もないが、それは賢明な策ではない。

「部下に見くびられていると感じたら、上司は、ボスは自分であって君ではないと、その部下に思い知らせてやろうという気になるだろう」と、マンゾーニは言う。まずは上司にそうした行動をとらせている原因を理解するよう努めよう。その上司は計り知れないプレッシャーを受けているのか。このようなマネジメントは彼の生来の性格によるものなのか。このような行動を奨励し、それに報いる会社の文化のせいなのか。根本的な原因を理解することで、部下は対応策を考え出すことができる。

チャットマンによれば、マイクロマネジメントの根底には「世の中の基準はあるべきレベルに達していない、という基本的な見方」があることが多い。したがって、部下は、上司が重視している分野で成果をあげて信頼を勝ち取るために、意識的かつ誠実に努力する必要がある。「きちんと職務を果たすことが、しかも、上司のストレスを高めないような形で果たすことが、絶対に必要だ。もっとはっきり言うと、上司のストレスを減らすことを突き止める必要がある」と、マンゾーニは言う。彼が勧めるのは、たとえば上司に次のように申し出ることだ。「信じがたいほどのストレスを受けておられるのでしょうね。何かお役に立てることはありませんか」