早ければ2022年2月から、5~11歳の接種が可能に

以前もお伝えしたように、子供が新型コロナワクチンを接種する場合もメリットはあります(「子供にコロナワクチンを打っていいのか」迷う人に現役小児科医が伝えているたった一つのこと)。日本では現在、12歳以上でないと接種できませんが、早ければ2022年2月から5〜11歳の新型コロナワクチンの接種が始まります。今のところファイザー・ビオンテック社のものだけで、大人と違って1回の量は0.2ml、間隔は未定ですが2回接種の予定です。

ただ、一方で本人や家族に持病のない子供のワクチン接種に関してはメリットが少ないと考えている感染症の専門家、小児科医もいます。そして、発熱などの副反応が増えたり、失神の原因となる血管迷走神経反射(緊張やストレスにより一時的に血圧・脈拍が低下する)が起こったりしやすい可能性があるため、大人のように対象者全員に接種券を配って「必ず受けましょう」というのは違うのではないかという考えもあります。

予防接種を受ける女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

ワクチン接種での心筋炎は、コロナ感染時の心筋炎よりも少ない

そのほか、子供が新型コロナウイルスワクチンを打つ際の注意点としては、副反応として、わずかながら心筋炎の危険性があることです。ファイザー・ビオンテック社やモデルナ社の報告では、思春期の若い男性に多く見られるようです。心筋炎の頻度は12~24歳の男性では100万回接種あたり50~60人程度、女性は4~8人程度です(厚生労働省新型コロナワクチンQ&A「Qワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか。」)。

ほとんどの症例は、軽症です。症状は、胸の痛みや違和感、息切れなどで、ワクチン接種から4日以内に出ることが多いので、その間は激しい運動をしないようにしましょう。でも、実際に新型コロナウイルスに感染してしまったとき、合併症としての心筋炎の発症は、100万人あたり男性で923人、女性で702人で、このうち10〜29歳男性だと100万人あたり893人だったという報告があります(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会「新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象について~小児科医への情報提供」)。

ということは、ワクチン接種後の副反応としての心筋炎は新型コロナ感染後よりもとても少なく、かかってしまうよりワクチンを接種したほうがいいと考えられます。