「小学校1年生の運動会」は一生に一度

それ以降も、行事が中止になったり、縮小されたり、延期になったりしました。普段の学習も大切ですが、さまざまな体験から学ぶ子供たちには行事なども必要です。あえて言うまでもなく「小学校1年生の運動会」というのは一生に一度しかありません。

例えば、東京都では運動会の規模が縮小されたり、修学旅行が日帰りのバス遠足になってしまったりした学校がたくさんあります。感染状況によっては仕方のないことですが、修学旅行に行けないまま卒業したり、あるいは留学の予定がなくなったりしてしまった子供たちは体験の機会を失ったことになりますし、とても残念に思っていることでしょう。

コロナ禍に限らず、災害が起こると犠牲にされがちなのが弱者である子供たちです。私は日々、小児科診療をしていますし、幼稚園や小学校での健診もしています。子供たちはとても素直に大人の言うことを守るのです。WHOはマスクを適切に着けられない5歳以下は着けなくてもいいと言っていますが、2歳でも自分からマスクをするんだといって喉の状態を診せてもらうとき以外はすぐにマスクを着ける子もいます。手洗いをしっかりしてあかぎれになっている子もいます。本来、できるはずだったいろいろなイベントを我慢して、感染予防に努める子供たちのために大人がしっかりするべきだと思います。

洗面所で手を洗う少女
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

「保護者からウイルスをもらう」ことが圧倒的に多い

新型コロナウイルスに感染した子供の7割が家族内感染……、つまり子供は保護者からウイルスをもらうことが圧倒的に多いのです(日本小児科学会「新型コロナウイルス感染症の流行拡大から子供の生活を守りましょう」)。大人たちは気が緩んで大人数で会合や旅行をし、子供たちには手洗いとマスクを厳しくやらせて、あらゆる行事が自粛のままというようなことになったらアンバランスでしょう。

まずは大人が感染対策を徹底してください。マスクと手洗いの徹底はもちろん、感染者が増えてきたらより三密を避けましょう。大人にもう一つできることは、子供を守るためにも、ワクチンをきちんと接種しておくことです。間もなく大人のワクチン接種3回目が始まりますが、大人がしっかり受けた上で、子供への接種を考えたほうがいいでしょう。