一般の人と医療者では「重症化」の認識が違う

そして重症ではなくて、軽症や中等症であればいいとも言えないでしょう。実際にかかってしまったら、どうなるかは誰にもわかりませんし、ひとくちに「重症化」といっても、その意味は一般の人と医療者が考えるものとで、ずいぶん乖離かいりしています。

Twitterで話題になったアメリカの内科専門医・安川康介先生の作った画像(図表1)がわかりやすいですね。中等症と言っても、多くの人にとっては今まで経験したことがないくらい苦しいようです。重症は亡くなることがあるくらい症状が重い状態です。軽症なら酸素投与は必要ないかもしれませんが、よく眠れないくらい苦しくなることがあります。「うちの子は10代だから軽く済むはず」と考えていたとしても、想像していたよりも、ずっとつらい目にあうかもしれません。

ツイート時の画像を安井先生がさらにわかりやすくしたもの
画像提供=安川康介先生
ツイート時の画像を安川先生がさらにわかりやすくしたもの

それに感染する人の母数が増えると、若くても重症化したり、亡くなったりする人が増えるのです。また、たとえ無事に治ったとしても、後遺症として嗅覚や味覚がないままになったり、毛髪が脱けたり、あちこち調子が悪い不定愁訴に悩まされたりといったことも十分にあり得ます。さらには、若い人や子供が新型コロナウイルスに感染した場合の、より長期的な予後はわかっていません。

子供にはその年齢で学んでおきたいことがある

一方で、子供は大人とは違って、その年齢に学んでおきたいこと、経験しておいたほうがよいことがたくさんあるものです。ところが、新型コロナウイルス感染症蔓延防止のために、保育園や幼稚園、学校がお休みになったり、夏休みが延長されたりしました。

今のところ、日本は休校期間が短くて済んでいますが、世界では2021年7月現在でもほぼ半数の国が、200日以上学校を閉鎖しています(Yahooニュース個人「コロナによる学校閉鎖:世界中の3分の1の子供がリモート学習できない ユニセフが報告」)。人数にすると世界中で6億人です。世界銀行によると、このように子供が学校に行けない、リモート学習を受けられないことは長期的にみると、10兆ドルの損失になると推計しています。教育危機です。

日本でも2020年に多くの学校が閉鎖しました。オンライン授業の体制が整っていない学校が多かったこと、保育園・幼稚園はオンラインでの登園ができないことなどが大きな問題になりましたが、今後も同様のことが起こりうるでしょう。