研修店舗の野火止店を引き継いだ理由

研修期間中は契約社員としての給料制になる。周東さんの場合、「前職に比べれば収入は落ちたけれど、生活には何の問題もない額だった」と話している。

2021年時点のおよその基準でいえば、30代で配偶者がいれば、手当込みで研修期間の年収は550万円ほどになる。

「契約社員でいる期間は最長2年間ということでしたが、1年後に“加盟してはどうか”という話になったんです。自分としては、このまま野火止店を引き継げればいいな、とは思っていたんです。自宅から近くて、売上げが高く、パートさんやお客さんとの関係も良くなっていたからです。実際にそうなったんだから嬉しかったですね」

この制度では、どの店舗を引き継ぐかは、本人とも相談のうえ決めることになっている。希望が通ることもあれば、希望に添えないこともあるが、基本的に売上げ1.5億円以上ある優良店のなかから選ばれる。

安全靴
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誰もが必ず加盟できるわけではない

「同期みんなが集められて、『候補としてはこれらの店舗がありますが、加盟はどうですか』みたいな話があったんです。僕に限らず、みんなが納得のいく店舗の店長になれたように思います」

実をいうと、一期生のうちひとりはワークマン側の判断によって加盟が見送られている。研修期間中の態度に問題があったからだ。店長候補社員になれば、必ず店舗を任されるわけではないということだ。

加盟時に保証金や開店手数料、加盟金が必要となるのは通常どおりだ。ただし、すでに研修を受けているので研修費は免除される。

新規オープン店の場合、夢がある一方、少なからず不安をかかえることになるのに対し、最初から売上げ1.5億円以上の実績がある店舗のオーナーになれるのは大きい。売上げを落とさなければ高収入を見込みやすい。

店内在庫を買い取るワークマンのシステム

年収については店長の考え方によっても左右される部分である。

ワークマンでは店内在庫をオーナーが買い取るシステムを取っている。店をやめるときには在庫が買い戻されるので“積み立て預金”のようなものだと考えてもいい。平均的な在庫の総額は原価で約2240万円(店舗での販売価格で約3500万円)となる。

買取り金を本部から借り入れた場合、金利の支払いは別にして、元本の返済をどうしていくかは本人次第だ。できるだけ早く返済したいと考えるか、ゆっくり返済していこうと考えるか。それによっても月々に手にできる金額は変わってくる。周東さんがどうだったかといえば……。