店長候補社員制度はワークマンドリーム?
あらためて店長候補社員制度を振り返ってみてどうか。この制度に応募したことが正解だったと振り返られるだろうか?
「最初から安定した経営ができるというのは大きいですよね。どんな業種であれ、売上げがどうなるかもまったくわからない店をイチから自分でやっていくリスクは大きいし、コロナ禍であればなおさらそうだと思うんです。この制度はもともと“繁盛店を譲ります”というニュアンスだったんですから、なかなかない機会だとは思いました」
安心感のある独立というのは、たしかに普通は難しい。店長になったあとにも売上げを伸ばしていければ収入はさらにあがっていくのだからまさに“ワークマンドリーム”だ。
周東さんは、この制度に応募して研修を受けていた段階から「自分の選択が正解だという確信があった」とも話している。
「店長候補社員は教育部に配属されるかたちで、教育部の人たちや当時のマネージャーにいろいろ教えてもらって、本当に恵まれていたと思っています。お世話になっているなかで、時間が経てば経つほど確信が強まっていった感じでした。僕を採ってくれた人事部と、育ててくれた教育部、それにマネージャーの平野さん。この人たちには心の底から感謝しています。僕には小売りの経験がなかったのに、イチから基礎を教えてくれたんですからね。1年間ですべては吸収しきれなかったんですけど、すごく勉強になりました」
求めるのは“乾いたスポンジ”のような人
周東さんがこれほど感謝しているという平野マネージャーとは現在の営業本部長だ。
念のため、平野本部長にも周東さんの言葉を伝えてみたのだが……。
「当時は担当SVとして他の店舗と同じ巡回をしていたので、そこまで言っていただけるとかえって恐縮しちゃいます。当時の周東さんには店長候補社員の一期生としてのプレッシャーがあったと思うんです。自分たち一期生がダメならこの制度自体がダメになってしまうという思いのなかで必死にやられていました。たとえるなら、乾いたスポンジじゃないですけど、いろんなことを吸収する力が強い人だという印象です。
人事部が周東さんを採用したのは、そういったところを見抜いていたからだと思います。新しいことに挑戦するとき“吸収力”はとても強力な武器になりますから。担当を外れるときに冗談で、『本当に困ったときには、3回まで直接連絡してきてもいいですよ』と言ったのに、一度も連絡してきたことがないんです。周東さんに聞いてみたら『もったいなくて使えない』って言ってましたけど、私は一期生としての誇りがあるんだと思っています」
乾いたスポンジというのはうってつけの表現かもしれない。ワークマンはそういう人材を欲し、そういう人材が夢を掴みやすくなるシステムを考え続けている。