「僕は買取り金の返済もそれなりの早さで進めていったんです。やめるときには店内在庫を買い戻してくれるので、返済が済んでいれば、まとまった額を受け取れますよね。会社勤めの感覚でいうなら、退職金がわりのようにもなるといえます。僕の場合は銀行に返済していく方法に変えていて、いまもできるだけ早く返せるようにとがんばっています。うちより売上げが低くても、店長の収入が多い店もあるようなので、そのあたりも含めての考え方次第なんでしょうね」
年収も働き方も「自分で決める」
「人件費もそうです。ある程度、人件費を使っても、いい売り場を維持していきたいという考え方です。そのほうが長い目で見たアベレージは高くなるんじゃないかなと思っているからです。
店長ひとりでがんばって、なんでもかんでもやりますってところは実入りがいいかもしれないけど、体を壊してしまうことだってあるかもしれない。そこら辺のバランスを自分で選べるというのはありがたいことだと思っています。僕にしても、今現在でいえば、ちょっと働きすぎになっているところがあるんですよ。うちにいたスタッフが一人、独立して別の店舗に加盟したので、その分を埋めていく必要があるからなんです」
休みをあまり取らず、長時間働きがちな店長もたしかにいる。しかし、そういう店長たちも、自分たちの労働環境がブラックだとは感じていない場合が多いようだと話してみると、周東さんも頷いた。
小売業なのに休みの取り方も自由
「それはきっとそうでしょうね。サラリーマンの人が、ひとりで店をやれって言われたら、ん? ってなるでしょうけど。僕たち店長は、何かに縛られているわけではないですから。ちゃんと店を開けてちゃんと閉めて、任せられる人がいたら任せちゃうのもありだし、僕自身、そっちのほうが合ってる気がしています。繁忙期とか勝負時になったら店にカンヅメになって売り場をつくったりすることもあるんですけど、逆に閑散期もあるのでバランスを取りながらやってる感じです」
現在、周東さんは毎週日曜に休みを取るようにしている。野火止店もやはり日曜日に一般客が増えるが、平日に比べて、仕入れの処理などのオペレーションがシンプルになるのでスタッフに任せやすいからだという。
「連休を取りたいと思うなら、その分、人を入れればいいだけですからね。決められていることより、自分で決められることのほうが多いというのはやっぱりいいですよ」