マッサージ師や鍼灸師は強い味方になる

皆さんにお馴染みの湿布についても、少し触れたいと思います。膝や肩などの関節という表面から浅いところであれば湿布は有効です。単に久しぶりの運動で、腰の浅い部分の筋肉痛であれば、医者に行くまでもなく、運動直後のストレッチやシップ薬で治ります。

しかし、残念なことに筋肉の深いところがコリ凝り固まっている慢性腰痛には効果が期待できません。鎮痛薬が有効(痛みが半分になる)なのは約30%と言われています(慢性疼痛治療ガイドライン2018年より)。

このほか、「IMS療法」のような鍼を刺す治療もあります。これは湿布では届かない深い部分に届くため疼痛とうつう対策には有効です。腕のいい鍼灸しんきゅう師であれば、筋肉のコリに対して適切な治療をしてくれます。マッサージも、上述した生活習慣改善11のポイントの一つであるリラクゼーション効果が期待できます。選択肢の一つとして取り入れるといいでしょう。

鍼灸やマッサージは、競争の厳しい実力の世界です。整形外科よりも慢性痛をよく理解している理学療法士や、相性のいい鍼灸師、マッサージ師、パーソナルトレーナーもいらっしゃいます。彼らは慢性腰痛に悩む患者さんの強い味方になります。

彼らとの出会いで痛みが緩和することがよくあります。2、3カ所通ってみて、痛みをよくわかっている、相性の良い専門家を選ぶことも検討してみてください。

複数の医療従事者
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慢性腰痛の治療で最も重要なこと

これまで見てきたように、慢性腰痛の原因は筋肉のコリであり、長年蓄積された生活習慣が複雑に絡み合って引き起こされるものです。よって痛みそのものは、残念ながら治るかどうかわかりません。特に、年齢が上がったり、手術をしていたりすれば、完全に治るのは極めて難しくなります。

私のペインクリニック内科では初診時も含めて、痛みについての質問はほとんどしません。ですが、患者さんは具体的に何に困っているのか? 困っていることは痛みによるものなのか、それともほかに原因があるのか? という点から切り込んでいきます。

腰痛を含む慢性痛は、特に原因がこじれている場合、痛みを治そうとすればするほど、治りにくくなります。痛みを「棚あげ」して、どうやったら困っていることを解決できるかに視点を移して行動することが重要です。そうすれば痛みはおのずと良くなることが多いです。