そこで、一対一の対話や社内会議で行う冒頭2分の雑談では、擬音語などを意識して使うようにする実験を行いました。
初めは戸惑って、発言がやや長くなる傾向にあったのですが、擬音語などを意識して使うことによって「相手に伝わるようにしようという思いが高まった」というコメントが参加者から寄せられました。
相手に伝わるようにするためには、擬音語や副詞などが有効だということを意識させることができたのです。擬音語などによる表現がどれだけ増えたかは測定できませんでしたが、「擬音語などを使えばイメージを一致させやすくなる」ということは実験参加者に理解させることができたのです。
沈黙しがちな相手にはクローズドクエスチョンで
対話を成功させるには、話すよりも聞くことに重点をおいて、相手に話をさせて相手のテンションを高めることが大切です。
しかし、全員が全員、饒舌に話してくれるわけではありません。あまり話すことが得意ではないメンバーもいるでしょう。なかなか話さない相手が話し始めるのを待っていると、間が空きます。1秒くらいの間であれば問題なく会話を進められますが、間が3秒を超えると恐怖を感じます。何をすべきかわからず不安に陥るからです。
なかなか話してくれない人に心を開いてもらうために、活躍社員はクローズドクエスチョンという質問技法を活用していました。「はいorいいえ」もしくは選択式で答えられるように質問する技法がクローズドクエスチョンです。
口数が少ない相手には「はいorいいえ」で少しずつしゃべらせていき、少しでも興味に触れる話題になったら、そこで自由に答えられるオープンクエスチョンに切り替える。
実践した管理職の53%が「部下が話すようになった」
この手法は再現可能だと思い、25社で行動実験を行いました。
会議や上司・部下の1ON1ミーティングで、話に詰まったらクローズドクエスチョンを使い、話が盛り上がったらオープンクエスチョンに切り替えるというガイドを作ったのです。このガイドに従ってくれた管理職のうち53%が、「1ON1ミーティングで部下がこれまでより話すようになった」と答えてくれました。
この実験を2カ月継続したところ、会議でビデオをオンにしてくれる参加者が増えたという声も多数あがってきました。1人で話し続けるシーンが減り、発言する人が増えると対話が活発になり、それまでビデオをオフにして参加していたメンバーがビデオをオンにするようになったのです。