相手と関係性が深ければ少し遠くに座って威圧感を与えないようにします。逆に、初めて話す相手などには、ややウェブカメラに近づいて大きくうなずきながら、相手の心理的安全性を確保しようとしていたのです。

人間関係が浅ければカメラの少し近くに座り、近しい関係にあれば少し遠くに座る。このやり方を他の管理職にも試してもらいました。

ビデオをオンにしたがらなかった部下が…

1ON1ミーティングでは、空気感が伝わらずなかなかスムーズにコミュニケーションができないものです。とくに部下は、言いたいことが言えなかったり、下手なことを言うと評価が下げられるのではないかと思って口数が少なくなりがちです。オンライン会議サービスを使うと気軽に対話ができるものの、空気感は伝わらず、関係性を深めることは難しいものです。

そこで、前出の優秀なリーダーがやっていたように、相手との関係性によってカメラとの位置を変える方法を他の管理職にも試してもらったのです。

相手とすればなかなか気づきにくいのではないかとも思われましたが、部下がオンライン会議のビデオをオンにするケースは予想以上に増えました。腹を割って話せない部下は、ビデオをオフにして話すことがあるのですが、上司がビデオをオンにして近くで話すと、自分もビデオをオンにする。そういう部下が増えているのが確認できたのです。

「ビデオをオンにして対話することが増えた」と回答する管理職は27%いました。

相手との人間関係の深さを意識すること。相手に配慮してウェブカメラとの距離を調節すること。これは結局、相手に興味・関心を持って、相手を主役として対応しようという姿勢のあらわれです。

そういった思いが相手に伝わると、対話もスムーズになるのではないかと思います。

「どう伝えるか」ではなく「どう伝わるか」を心がける

対話においても、「伝える」ではなく「伝わる」を目ざさなければなりません。相手が主役と考えたうえで、相手に自分の思いが伝わらなければ、思いどおりの行動を起こしてはもらえないからです。

「伝わる」とはどういうことでしょうか。伝わった状態の定義について行動心理学を専攻する学者に聞いたところ、「イメージングの一致」だと教えてくれました。人は、伝えたいことがあると、まず頭の中で静止画もしくは動画のイメージを膨らませるそうです。そこでイメージした静止画もしくは動画とまったく同じものが相手の頭の中に浮かんだら「伝わった」、つまり「イメージが一致した」ということになるのだそうです。