相手の頭にイメージされたものは、静止画よりも動画のほうが記憶に残りやすいということも教えてもらいました。
相手に同じイメージを持ってもらうためには、手段として言葉や文字を丁寧に表現する必要があります。
たとえば「あのイベントはうまくいかなかった」と言っても、どのイベントを指すかがわからなければ頭の中でイメージができません。一方、「先週の木曜日に名古屋で行ったイベントは、参加人数が少なくてうまくいかなかった」と言えば、名古屋の会場をイメージしてその中で空席が目立つ状況を想像できます。
優秀な人ほど「あれ」「これ」「それ」を使わない
活躍社員も、とくにテレワーク中は丁寧に言語化することを意識していました。
約2万1000人のチャットやオンライン会議の発言投稿履歴を分析したところ、活躍社員は指示代名詞を使っている比率が低いこともわかりました。「あれ」「これ」「それ」といった言葉を使うことが極端に少ないのです。
目の前にメンバーがいれば、「あれ」「これ」「それ」で伝わることもあるかもしれません。しかし、目の前に相手がいないオンラインでは、しっかりと言葉で表現しないと伝わらないのです。
「このリンゴが……」と言っても、それが赤いのか青いのかは、見てみなければわかりません。しかし「私が食べた真っ赤でツヤツヤしたリンゴは」と言えば、赤くて新鮮なリンゴを手にしている状況を相手はすぐにイメージできます。
形容詞や副詞、擬音語や擬態語を使えば、相手にそのものを鮮明にイメージさせられるということも、行動実験でわかりました。
たとえば雑談では、飲食の話で盛り上がることが多いのですが、食べたものを形容詞や副詞、そして擬音語や擬態語を使って表現すれば、相手に伝わりやすいのです。
「サンドイッチを食べた」と言うよりも「セブン‐イレブンで買ってきたシャキシャキレタスのサンドイッチを食べた」と言ったほうが、相手に正しくイメージさせることができます。「ツヤツヤ」や「シャキシャキ」などの擬態語やカジュアルな口語を使うと、なお伝わりやすくなることもわかりました。
部下のやる気を引き出す「どんどん」「本当に」
上司から「プロジェクトの旗振りをしてくれてありがとうね、このまま続けてくださいね」と言われれば嬉しいものです。しかし、優秀なリーダーは形容詞や副詞、擬音語や擬態語などの言葉を使って、さらにメンバーのテンションを高めていました。
「プロジェクトをしっかりと進めてくれて、本当にありがとうね、どんどん進めていいからね」「ありがとうね」と言うよりも「本当にありがとうね」と言われたほうが嬉しいものですし、「続けてください」と言われるより「どんどん進めてください」と言われたほうが背中を強く押されている感覚になります。