脱水状態ではいつまでも二日酔いが治らない

遺伝、性差といった、自力で動かしようがない事実は、黙って受け止めるしかない。大津医師によると、「カラダが男性よりも小さい女性のほうが肝臓も小さく、アルコールに弱い傾向がある」という。

そして次に挙がるのは、アルコールによって起こる「脱水」である。

「アルコールによる脱水には、2つのことが関係しています。1つはアルコールの利尿作用です。お酒を飲むと、トイレが近くなるのはそのためです。もう1つは体内のアルコール分解時に水分が使われることです。ダブルで水分が失われることによって脱水が進み、さらにはアセトアルデヒドを尿で排出しにくくさせてしまうため、二日酔いが誘引されやすくなります。

ちなみに急性アルコール中毒の治療で救急受診した際は、点滴での水分(細胞外液)投与です。“ウォッシュアウト”といって、体内に滞留したアセトアルデヒドを尿で排出させるのが目的です」(大津医師)

二日酔いの朝、喉の粘膜がくっつきそうなほど喉が渇き、いくら水を飲んでも渇きがおさまらないのは「脱水」によるものだったのだ。大津医師は「年を重ねるほど、脱水は起こりやすい」と注意喚起する。

さて、二日酔いの原因がいくつか判明したところで、酒飲みの間で信じられていることを大津医師に投げかけてみた。それは「ちゃんぽん(アルコール度数が違うお酒をいっぺんに多種飲むこと)すると、二日酔いになるのか」という質問だ。

いろいろな酒の「ちゃんぽん」が危険な理由

「ちゃんぽん自体が二日酔いを招くというと、ちょっと語弊があります。一番の問題は飲んだアルコールの総量です。お酒の種類や味が変わると、かなり酔っていてもスルッと飲めてしまいますよね。これが危険なんです。調子に乗って飲んでいるうちに酔いが回り、飲んだ総量がわからなくなるまで飲み続ける。それにより、肝臓の処理能力が追いつかず、結果として二日酔いになってしまうのです」(大津医師)

ちゃんぽんについては、これにて解決。「すっきりした」と言いたいところだが、酒飲みの間で常識になっている「ビールやワインといった醸造酒と比べ、ウイスキーなどの蒸留酒は二日酔いしにくい」という件についてもうかがってみた。

ワイン、ビール、ウイスキー
写真=iStock.com/Peter-Braakmann
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「これは本当です。アルコールには製造過程で生成される“コンジナー”という物質が含まれています。お酒にとってコンジナーは、風味に関係する成分ですが、これが多過ぎると二日酔いを起こしやすいと言われています。コンジナーは蒸留することで大幅に減ります。こうしたことからも、醸造酒より蒸留酒のほうが、二日酔いになりにくいと言えるでしょう。ただし、飲み過ぎれば醸造酒も蒸留酒も関係ありません」(大津医師)

最後の一言は耳が痛いが、ちゃんぽんとともに蒸留酒の一件もクリアになった。蒸留酒ラバーには、嬉しい情報だったのではないだろうか。