生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画では、アルバイトやパートから社員になる「内部採用」の比率が高い。良品計画前会長の松井忠三さんは「内部採用では、性別も学歴も、年齢も関係なく、実力でステップアップしてきた人を公正に評価することになる。それが本部に優秀な人材の多い理由となっている」という――。
※本稿は、松井忠三『無印良品の教え』(角川新書)の一部を再編集したものです。
辞めた人の穴は「内部採用」で埋める
無印良品では、本部にいきなり外部の人を入れることは基本的にありません。中途採用も、1年に2〜3人いるかいないか、ぐらいの割合です。
とはいえ、無印良品でも離職率はゼロではないので、辞めた人の穴は埋めなければなりません。そういう場合は「内部採用」をします。
内部採用とは、パートナー社員から本部の社員になってもらうことです。パートナー社員は店舗で働くアルバイトやパートのスタッフのこと。週に28時間以上働ける方はパートナー社員として契約し、そこから契約社員、正社員へと続く道が用意されています。そのパートナー社員出身の人を、本部に起用するわけです。内部採用では、性別も学歴も、年齢も関係ありません。実力でステップアップしてきた人を公正に評価します。
実は、私が会長を務めていた時期の数年間は、新卒採用より、内部採用の数のほうが上回っていました。それは、無印生まれ・無印育ちのパートナー社員に優秀な人材が増えたからです。
無印良品では、店舗に配属されたら誰もがMUJIGRAM(店舗用のマニュアル)をもとに指導を受けます。MUJIGRAMは一般的なマニュアルとは違い、トップダウンでつくるのではなく、現場で働く社員の提案やお客様の要望を集めて、マニュアルにしたものです。さらに一度つくったら終わりではなく、毎月内容を更新していき、今でも常に進化をし続けています。