チームワークを評価する仕組みをつくった
私は、欧米型の成果主義は日本にはなじまないと考えています。
日本はチームワークで仕事をするので、隣の人がライバルになる成果主義は向いていません。欧米はもともと個人主義が基本なので、成果主義が機能するのでしょう。
やはり、単なる流行りものに「真実」はありません。多くの企業が導入しているから、という理由で飛びついた企業は、かなり痛い目にあったはずです。
実は、無印良品も一時期、成果主義を導入していました。
けれども、激しい成果主義は企業にとって一番大事な「協働」や「協力」といった力を弱めてしまいます。無印良品が目指すのは、チームで業績を出すチームワーク、みなで協力し合う環境です。
そこで、協調性を保ちながら個人の実力をきちんと評価するシステムを構築しました。たとえば、評価内容に部門全体の評価を配点しました。すぐれた成績を挙げた部門には、賞与原資が成績に応じて配分されます。
また、販売部門においては、お客様の評価を全店で上げるため、個人目標にもお客様評価への項目を加えています。小集団活動の「WH運動」(W=ダブル、H=ハーフ/「生産性を2倍に、またはムダを半分に」をスローガンに、社員から社内の環境改善や顧客満足度を高めるための提案をしてもらう制度)では、給与明細のウェブ化という目標を掲げた人事部門に、販売部・システム部が一丸となって達成させる風土づくりも進展していきました。
終身雇用であっても年功序列ではない。実力を評価しても欧米型の成果主義ではない。それが無印良品の雇用体制であり、辞めたくない会社づくりの方法でもあります。これこそ日本の企業に向いているのではないでしょうか。年功序列を排除しきれない企業や、社員の実力をきちんと評価できない企業には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。