「地の利があった」自然感染の波を何度も乗り越えた日本

日本の波形を見てみましょう。

理想的な形に見えませんか? 5波では「陽性者数と死亡者数のリンク切れ」が観測されました。日本はこのように幾度もの自然感染の波を無事に乗り越えています。次は6波目になります。もし2019年の波を加えれば次は7回目になるわけです。

地政学的な応援を受けて、私たちは軽微に波を何回も乗り越えることができたのです。コラムでもお伝えしてきたように、日本の清潔な都市設計や暮らし方、充実した医療システムも波を乗り越える大切なファクターでした。

新型コロナウイルスはどう乗り越えればよかったのか

それではどのように新型コロナウイルスを乗り越えれば良かったのでしょう?

地政学的なアドバンテージを理解しつつ、重症者に対応しながらユルユル対策するのが正解だったわけです(注8)

ロックダウンもせず、緊急事態宣言を無視して営業を続ける飲食店に警察が踏み込むこともなく、私権制限をする法律をつくるでもなく、国民に自粛をお願いすることでなんとなくやり過ごした日本は大正解だったのです。

国民が過剰な危機意識をもつこともなく、オリンピックやパラリンピックを開催して正解だったのです(注9)。コロナ専門家やメディアが引き起こしている過剰な恐怖の欺瞞ぎまんを見抜いて懐疑的だった国民の慧眼も正解でした。

専門家が道具に使っていた陽性者数には、もう関わる必要はありません。封じ込めも可能だったごく初期以外は、捕捉できない人々が多数にのぼったPCRが治療の鑑別診断の目的以外には有害無益でした。今なら理解していただけることでしょう。

こうやって今後も無事に自然感染の波を何回も越えていけば良いわけです。感染が「天然の生ワクチン」接種になります。それが世界的に観察された事実です。コウモリからハクビシンを経たコロナウイルスが中国周辺のアジアの人々を、ラクダを経たコロナウイルスが中東の人々を新型コロナウイルスから守ってくれたのかもしれません。

日本のコロナウイルスの激減の理由は、「自粛の成果」や「若者に危機意識が浸透したから」ではないと思っています。専門家は最後まで行動変容を呼びかけてきましたが、目の前で起きている激減を説明できていません。以前の記事で「陽性者急減の理由も(専門家には)わかっていない」(注10)と書いたのはそのためです。

人間が有している検出系も知識も未熟です。そういう自覚をもって、生物や自然界に起きている物事を謙虚に観察して考察することが必要だと思っています。人類の蟷螂とうろうの斧でウイルスを封じ込めたり制圧することはできないのです。