すべての仕事は3倍速くできる
結果を出すには自分の仕事のスピードだけ速くしてもうまく回りません。部下やメンバーのスピードを上げ、チーム全体の生産性を上げなければならないからです。
そのためには、自分の仕事のスピードを本気で速めることが必要です。ありとあらゆる工夫をし続け、圧倒的なスピードを自ら体現します。口ではなく、背中で見せることが、部下・メンバーを駆り立てます。
部下が驚くほどのスピード。しかも雑な仕事ではなく、部下が感動するような全体観、知見、洞察力、緻密さ。これは部下のためでもありますが、上司としての自分のためになります。
上司の仕事が遅いのに、部下にだけスピードを要求しても説得力がありませんし、あきれられるだけだからです。
背中で見せて感動させたうえで、「すべての仕事は3倍速くできる」と言い続け、それが実現するまで個別に、具体的に助言し、加速してもらいます。「自分はそういうアドバイスをされたことがない」と思っても、それとこれとは別です。
あらゆる仕事は着手から最後まで改善の余地あり
これまで大小とりまぜ、国内外の多くの企業の経営改革支援をしてきました。
1万人を超える方々とのやりとりや支援を通じて、スピード感の欠如、過剰な品質追求、意思決定の遅さ、資料作成の膨大な作業、上司からの度重なる差し戻し、延々と続く長時間の会議などの結果、いかに仕事が遅くなり、いかに過剰に時間をとられているかを目の当たりにしてきました。
本人の意識としても、会社の仕組みとしても、仕事のスピードの問題に本気で取り組んでいるところはほとんどないと思います。仕事の着手から最後まで、ありとあらゆるレベルで改善余地が大きくあります。
いっぽう、私はマッキンゼーでの14年間、またその後の20年間を通じて、何度も劇的にスピードアップせざるをえない状況に追い込まれ、工夫して切り抜けてきました。
そこでは元の自分に比べて何倍ものスピードアップを経験しました。クライアントへの支援時には、圧倒的なスピードで経営改革をリードしていきます。
これらを考えると、部下・メンバー全員を駆り立てていく仕組みがどうしても必要ですし、またそれは可能だと考えています。「すべての仕事は3倍速くできる」という目標で全員をリードしていくのです。
これを言い続け、創意工夫をし続けることで、実際にスピードアップの楽しさ、重要さを体感してもらいます。
部下に要求することで、自分へのプレッシャーにもなり、さらに自分自身も加速することができるようになります。