残念なPR動画を作るよりも国税が行うべきこと

昨年12月、国税庁は国税局査察部・通称「マルサ」の仕事を紹介するドラマ仕立てのPR動画を公開したが、2019年12月16日配信の朝日新聞デジタルは、その内容について「期待を裏切られた」と批判していた。

「マルサの女」想像したが 期待裏切られた国税PR動画
脱税に目を光らせる国税局査察部、通称「マルサ」。その仕事ぶりを紹介するドラマ仕立てのPR動画を国税庁がつくり、13日に公式ホームページなどで公開された。国税担当の記者(41)は、映画「マルサの女」のような名作を思い浮かべながら今回の動画を見たが、期待は裏切られた。

記事によると、この動画は若者を国税組織にリクルートする狙いも兼ねているとのことだが、職場の魅力をアピールする力も、脱税に警鐘を鳴らす力もいま一つだとのことだった。

ストーリーを考え、俳優を使い撮影をするには、それ相当なお金が使われたのだろうと想像する。この映像はどれくらいの人が観たのだろうか。また、この映像を観ることが適正公平な課税の実現に繋がっているのだろうかと思うと、はなはだ疑問だ。

各税務署では、毎年年末調整の説明会が開催されている。その際、年末調整で記入した「扶養控除申告書」の扶養家族の見込み収入額と、その後にもらう「源泉徴収票」で確定した金額と照らし合わせることで、扶養家族の判定をし直すことができるのだということも伝えるようにしてはどうだろうか。そうすることで、「事後処理」の際に、扶養家族の判定誤りで呼び出しを受ける人が減ることになる。

中学や高校でも税教育を充実させるべきだ

また、「扶養控除申告書」の書き方を中学校や高校の授業の中で教えるというのも一つの手ではないだろうか。

教職員もサラリーマンなので、「扶養控除申告書」は毎年書いているはずだ。多くの生徒が将来給与所得者になって、毎年「扶養控除申告書」を書く。働く前から書き方を知っていても損はない。「扶養控除申告書」を書くことで税金のことを身近に考えるきっかけになると思うのだ。

「平成31年(2019年)分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は下記の通りだ。

さて、サラリーマンの読者のみなさん。

平成31年(2019年)分「扶養控除等(異動)申告書」の控えは手元にあるだろうか。扶養家族に入れた家族の所得金額の見込み額と確定金額は同じだろうか。

子どもの所得を知らずして、追加の税金を徴収される残念な親にならないために、今一度離れて暮らす子どもの昨年の所得を確認してみることをお勧めしたい。

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