「業務委託」のアルバイトの場合はひと手間かかる

大学生のアルバイトで効率よく稼げるのは家庭教師だろうか。テレビなどでCMをしている大手もあれば、大学の掲示板に貼り紙をしているものある。ここで注意しないといけないのは、求人サイトの家庭教師のアルバイトが「業務委託」となっている場合だ。

雇用契約となっている場合は、その所得の扱いは給与所得だ。所得金額に応じた「給与所得控除」が適用されるため、自分で経費を計算して収入から差し引く必要がない。一方で、業務委託の場合は、収入から経費を差し引きして課税所得の額を自分で算出しなければならない。

B君が、コンビニではなく業務委託の家庭教師をした場合はどうなるだろうか。「1時間2000円、1回3時間、週に3回」という条件で1年間働いた場合でどのようになるのか考えてみよう。

2000円×3時間×3回×4週×12カ月=86万4000円

これが、雇用契約としての家庭教師であれば、103万円以下なので扶養家族に入れることができる。

しかし、「業務委託」となると話は違ってくる。

いわゆる「103万円の壁」というのは、給与所得控除65万円と基礎控除38万円を合わせた金額が103万円なので、この範囲内の稼ぎなら所得税がかからず、扶養の範囲にもなるという意味だ。

しかし、業務委託の場合はこの「給与所得控除」がないため、かかった経費を実費で自分で計算して課税所得を出さなければならない。

家庭教師の収入を得るための直接的な費用を必要経費として差し引きできるので、テキストや教材が自分持ちなら、それらは当然必要経費になるだろう。家庭教師先のお宅までの交通費も必要経費として認められる(通学定期の範囲だった場合、交通費の必要経費は0円ということになるかもしれないが)。

先ほどのケースの収入86万4000円から基礎控除38万円を引くと、48万4000円。経費が48万4000円以上かかっていれば扶養に入れることができるが、アルバイトでこれだけ多額の経費がかかることはなかなかないだろう。

このように、業務委託の場合、扶養に入るかどうかの基準が103万円ではない点に注意すべきだ。

年末調整をやり直す「再年調」という制度がある

再度年末調整を行う事務のことを「再年調」と呼んだりしているが、企業側で年末調整のやり直しをしてくれるのは、原則1月末までだ。

少しでも気になった人は、離れて暮らす子どもに連絡をとるとよいだろう。1月末までに、令和元年(2019年)分の所得の確定額がわかれば、「再年調」に間に合うかもしれない。扶養家族を外した金額で所得税が再計算され、手取りが少なくなるということで、追加の税金を納めたことになる。

「大丈夫、103万円までに抑えているから……」

少し知識を持った子どもからは、すぐにこういった返事が返ってくるかもしれない。しかし、ここで納得してしまってはいけない。子どものアルバイトが雇用契約なのか、業務委託なのか。口頭だけではなく、書面で確認する方が賢明だ。