着々と進んでいる「民族殺戮計画」
ほかに2018年には、中国国内でおこなわれたIUD(子宮内避妊具)装着手術の8割が新疆でなされたことがわかっています。不妊手術も大規模に実施されています。
なかでも、私が見つけた最も残酷なデータは、2019年にホータン市において、女性524人にIUDを装着、さらに1万4872人に不妊手術を施すとの方針が記された公文書でした。
隣のグマ県と合わせて、1年間に出産可能な年齢(18~49歳)の女性の14~34%に不妊手術をおこなうという目標も出されています。背景には、再教育キャンプへの収容政策も関係しているでしょう。男性の収容対象者は家長が多い。家長がいない状態であれば、残された夫人や娘に不妊手術を強制的に実施することも容易になります」
ゼンツ氏の研究が信憑性を持っているのは、その多くが中国側の公式資料にもとづいているからです。共産党独裁体制下の「計画経済」のように、こうした「不妊措置」も「計画的」に実施されているわけです。
「ジェノサイド条約」には、「集団内の出生を妨げることを目的とした措置を課す」ことが「ジェノサイド」の定義の一つとして明記されていますが、そのままこの定義に当てはまるような「民族殺戮計画」です。