マンション下落、飲食、半導体不足…中国以外のリスクも

それに加えて、もし、エバーグランデのデフォルトが発生すれば、中国経済の減速の勢いは一段と強まるはずだ。その展開が現実のものとなれば、韓国の輸出だけでなく、消費、企業の設備投資にもかなりのマイナスの影響が波及するだろう。中国不動産市況の悪化はソウル周辺のマンション市況を悪化させ、韓国家計の債務リスクが高まる展開も想定される。

韓国
写真=iStock.com/Marco_Piunti
※写真はイメージです

9月上旬以降、韓国総合株価指数(KOSPI)の上値は重い。その背景には、エバーグランデのデフォルトリスクの高まりなどによって中国経済の減退が加速し、対中依存度の高い韓国経済に負の影響が及ぶという主要投資家の懸念がある。

韓国は中国以外の景気下振れリスクにも直面している。感染再拡大による動線寸断によって、韓国の飲食、宿泊、交通などの景況感は下押しされやすい。それに半導体不足の影響が加わり、自動車の生産が減少している。

日本経済にとっても他人事ではない

中国経済のさらなる減速リスクは、わが国経済にとって他人事ではない。

昨年5月ごろから、わが国の工作機械受注は、主に中国の需要に支えられて増加した。感染再拡大によって動線が寸断され飲食、宿泊、交通などサービス業の業況が強く下押しされる状況下、それは不安定ながらも緩やかな景気持ち直しを支えた要素の一つだ。見方を変えれば、わが国の経済は自力で回復することが難しい。なぜなら、わが国には世界の需要を獲得できるアップルのiPhoneのような完成品が見当たらない。

そのため、主要投資家は日本株を世界の景気敏感株とみなしている。その意味は、世界経済が良くなれば、それが支えとなってわが国の経済が上向くということだ。今後、中国経済の減速の加速化が鮮明となれば、わが国の自動車、工作機械、半導体部材などへの需要は低下するだろう。