経済と社会の両面で閉塞感が高まってしまう
中国経済以外にも、わが国経済を取り巻く不確定要素は多い。まず、さらなる感染再拡大のリスクがある。例えば韓国ではワクチンの接種が急速に進んでいるにもかかわらず、新規感染者が増加している。ウイルス変異も含め、わが国でも再び感染が再拡大し動線が絞られて経済に下押し圧力がかかる展開は否定できない。
早ければ11月にFRBがテーパリングを開始し、2022年には利上げを実施する可能性も浮上した。目先、米金利には上昇圧力がかかりやすい。それは、中国など新興国からの資金流出圧力を高め、世界経済の成長下振れ懸念は増す可能性がある。世界的な供給制約の深刻化などによりわが国の物価上昇圧力も増すだろう。
今後、政府に求められることは、世界の主要投資家が日本経済の中長期的な成長を期待できる成長戦略を立案し、しっかりと実行することだ。具体的には、企業の生産性向上、および素材や機械分野で米中の双方から必要とされる企業を増やさなければならない。そのためには、労働市場などの規制改革が欠かせない。それが難しければ、中国経済の減速などによってわが国の株価は調整し、経済と社会の両面で閉塞感が高まる恐れがある。