排ガス規制でバイク価格はますます高くなるだろう

1998年、欧州で始まった排ガス規制ユーロ1は、その後段階的に基準が強化され、現在はユーロ5まで進んでいる。日本の規制も基本的にこれにのっとったもので、近い将来ユーロ6が適用されれば、それをクリアするための技術とコストは相当高くなりそうだ。結果、新車は本来のスペックを大幅にそがれ、だからと言ってすぐに電動へシフトできない鬱屈とした状況下で起こり得るのは、さらなる中古車の高騰だ。骨抜きにされた新車よりもハイスペックな中古車に注目が集まってもなんら不思議はない。

では、ユーロ5までのバイクならいつまでも大手を振って楽しめるかと言えば、そうとも限らない。乗る楽しみが即奪われるようなことはなくとも、快楽性に富むエンジンに対して「ガソリンを遠慮なく燃やして地球温暖化を促進させる社会悪」という印象が広がっていく可能性は十分にある。愛煙家を取り巻く環境がどんどん締め付けられているのにも似ていて、ライダーはそれと同質の肩身の狭さを強いられるかもしれない。

新車や中古車を取り巻く現在の異常なまでの価格高騰はしばらくすると落ち着くだろう。しかしながら、長期的に見れば今後のバイクの価格は高くなる条件こそあれ、安くなる要素はほとんど見当たらない。コロナ禍の中で起こっている今の現象は突発的なものにすぎず、本当の大きな変革はこれからやって来るに違いない。

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