どんな人でも意見が採用されれば嬉しい
(2)頭ごなしに否定しない
ある会議で、若手社員が「こんな考えはどうでしょう」と提案したところ、同席していた社長は「そんなアイデア使えないよ」と言い、その場は静まり返りました。
社長は「もっといい意見はないのか」と言いましたが、誰も考えを話そうとしません。
さらに社長は「自分はこうしたほうがいいと思っていた」と自信ありげに言いました。それに対してある従業員が「それは難しいと思います」と発言したところ、社長は「君はいつもそんなんだからダメなんだ」と激怒しました。
上司がいくら「好きなように意見をしてもいい」と言っても、役職が下から上の人へ考えを伝えるのは多少なりとも緊張するものです。それを乗り越えて考えを伝えても、頭ごなしに否定されてしまうとそれ以降はもう何も言えなくなります。
逆に、役職が上から下の人へ伝える時も同様です。下の人からの意見に耳を傾けず、自分の考えを押し通そうとすると意見は出なくなります。
そうならないよう相手の考えを頭ごなしに否定せず、いったん受け止めて使えそうな考えを探し出すようにします。
例えば、考えの一部を切り取り「その考えのこの部分は面白いね」や、考えた理由を尋ねて「その発想は使えそうだ」といった具合です。どんな人でも、自分の考えが一部でも採用されると単純に嬉しいものです。
(3)「多分、大丈夫」のままで進行しない
ある商品企画の会議で、製造方法を考えるディスカッションをしていた時のことです。同席していた製造部門のリーダーは「これまで似たような商品を作ったことがあるので、多分技術的に大丈夫だと思います」と答えました。
商品は決まり、サンプルを作ろうとしたところ、製造部門のリーダーは「自社の製造ラインではできないことがわかりました」と申し訳なさそうに話しました。
結局、商品は大本から考え直すことになり、そのリーダーはプロジェクトから外れることになりました。
ディスカッションでは、参加者が持つ知識や経験を組み合わせて、素案から仮説を作り上げます。これは、職人が集まる建設現場に似ていますが、その職人が建物を建てる時に「ここの工事はこんなもので、多分大丈夫だろう」と手を抜いたらどうなるでしょう。
ディスカッションでも同様で、一部でも手を抜いてしまうとこれまで積み上げてきたイメージが全て水の泡になることがあります。
もし自信のない部分があれば、手を抜かず必ず確認し、必要であれば議題に挙げるようにしましょう。