時には“捨てる”勇気も必要になる

(6)「方向性が怪しい」と思ったら後戻りする

ある会社で新商品の企画会議が行われていました。社長発案で企画の具体化が進められていましたが、顧客ニーズ、製造、価格などでクリアすべき問題が発生していました。しかし企画メンバーは、社長発案の商品化に全力で動いていました。

私は途中から企画会議に参加しましたが、本当にこの商品でいいのか疑問に思い社長に「想い」を確かめてみると、この商品は理想のイメージではないことがわかりました。そこで、さらにイメージを聞き出すと全く別の商品であることがわかり、企画メンバーから「それなら実現できそうだ」と意見が出ました。

私は「今から企画する商品の方向を変えませんか」と伝えると、社長含めて全員の合意を得られました。後で企画リーダーから「このタイミングで商品の方向性を変えられるとは思ってもみませんでした」と言われました。

会議を重ねて考えを深めてしまうと、進む方向が間違っていたとしても突き進もうとして戻ることができなくなります。

いわゆる「コンコルド効果」と呼ばれるもので、時間やお金を費やしてしまうと、損失が出るとわかっていてもやめられない状態に陥ります。全員がこのような状態にある時に戻ることを提案するのは勇気がいることですが、怪しいと感じたら原因となるところまで戻りましょう。

先の例で言えば、「この商品で実現しようとする世界観」のイメージを聞き出しながら、その世界観と作るべき商品のズレを見つけ出しました。

会議の落とし穴に注意する

今回あげた6つのポイントは個別企業の話ではなく、私が多くの企業のさまざまな会議で見てきた“やってしまいがちな落とし穴”です。

時代が大きく変化し、新しい価値や顧客の創造が求められる今こそ、会議をうまく使い、メンバーの頭を強く動かし、「どこにも負けない」「何よりも強い」商品・事業を生み出していきましょう。

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