「仕事がデキる」と評価される人は、どこが違うのか。営業コンサルタントの浅川智仁氏は「人間の本音は言葉尻や態度に表れる。仕事のデキる人は大事なところでボロが出ない“ある習慣”を持っている」という――。

※本稿は、浅川智仁『仕事ができる人は、3分話せばわかる 信頼を勝ち取る「準備・具体性・ストーリー」』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

ビジネスマン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

「5分もお時間をいただいて、ありがとうございます!」

できる人は、常にまわりへの感謝を忘れない――と言うと、陳腐に聞こえるかもしれません。

「そんな簡単なことで、『できる人』になれるはずがない」
「感謝くらいなら、自分だってやってる」

というわけでしょうか。

たしかに、よほど自分本位な考え方の持ち主でないかぎり、親切にしてもらったら感謝をするのが常識でしょう。

しかし、できる人の「感謝する力」は並のものではありません。

相手がまだ何かをしてくれたわけではないのに、いや、期待外れの行動に出たときでさえ、できる人は感謝をします。

たとえば、電話営業なら、「相手が電話に出てくれたこと」に、まず感謝してスタートします。

「この電話を取っていただいて、ありがとうございます!」
「突然の電話なのに、社名と私の名前を聞いてくださり、ありがとうございます!」
「5分もお時間をいただいて、ありがとうございます!」
「あろうことか、個人情報や、お悩み、願望、今の状況までお話しくださって、本当にありがとうございます!」

このように、成約に至るまでに感謝するべきポイントはたくさんあります。それはたとえ成約に至らなくても同じです。

「なんだか感じが悪い人」になっていませんか?

逆に、感謝の気持ちに欠けていると、ちょっとした拍子にボロが出てしまいます。

たとえば、クロージング(顧客に成約をうながすこと)をかけたとき、お客さまに、

「うーん、やってみたい気持ちもあるけど、家族に相談してみないと……」

と渋られた場合、感謝の気持ちに欠けていては、

「えっ、ここまで話が進んだのに、今さら家族に相談するんですか?」

と思ってしまったりします。

あるいは、商談をしていて、先方が「検討したいから、数字とか、具体的に示してくれる?」と言ってきたとき、「うわっ、面倒だな」と思ってしまったり……。

たとえ口にしなくても、本音は言葉尻や態度に表われます。すると、成約はおろか、お客さまはもう心を開いてさえくれなくなります。

しかし、感謝の気持ちがある人は、

「ご家族に相談していただけるんですね! ありがとうございます!」
「あっ、期待してくれている。そうか、数字で具体的にお話ししたら、前に進めてくれるんだ! ありがとうございます!」

と、自然と考えることができます。

感謝されて気分を悪くする人はいません。ここまでお伝えしたように、人は自分を認めて肯定してくれる人を好きになります。

感謝を続けていると、やがて相手も、「なんだか感じのいい人だな」「この人から買ってやりたいな」と思うようになります。

「感謝できる人」と「感謝できない人」の差がそのまま、「できる人」と「できない人」の差になるのです。