感謝には「優先順位」をつけていい
できる人は、どうしてそこまで相手に感謝することができるのか――。
でも、正直なところ、自分とかかわりのある全員に対して、等しく熱量を持って感謝で応えていたら、ちょっと大変ですよね。
若い頃、彼女から「あなたは誰に対してもやさしすぎる」と言われてフラれた、知人の男性がいます。もし、私が当時の彼にアドバイスをするとしたら、こう言ったと思います。
「感謝には、優先順位をつけていい!」
たとえば、私は、星の数ほどある会社のなかから、私の会社を選んで入社してくれた社員全員に、感謝しています。彼らのためなら、命の時間を惜しみなく差し出せます。
でも、ふだん、自分となんの関係もない人がいきなり、「相談に乗ってほしい」とやってきても、社員にするのと同じ熱量では対応できません。
感謝の度合いは、相手からの「感情のエネルギー」の熱量に比例させていい。
感謝の度合いには、えこひいきがあってしかるべきなんです。
その意味では、お客さまは、私と私の会社を信じて対価を払ってくださっている。その信頼とご恩を考えると、どんなに感謝しても足りないくらいです。
だからこそ、命がけでコミュニケーションし、全力で感謝して、信頼にお応えする。
セミナーでも、熱心に質問してくださる方に対しては、こちらも全力で応えます。
それが、礼儀であり、感謝の基本だと思っているからです。
「ありがとう」の総数がそのまま数字につながる
かつて、むさぼるように本を読んでいたとき、次のような言葉に出会いました。
「お金というのは、『ありがとう』の総和である」
お金のなかった学生の私は、「どうやったら稼げるのだろう?」と常に考えていました。だから、「ああ、そういうことか!」と納得したのを覚えています。
前に「実際に仕事をして、その結果としてお金が移動するけれど、その前には『感謝の気持ち』という感情の見返りがある」というお話をしましたよね。
ですから、私は今でも、研修では、「売上というのは、『ありがとう』の質と量の総和です」とお伝えしています。
できる人、稼ぐ人というのは、たくさんの人から、心のこもった「ありがとう」をもらっています。それが、結果として売上という対価になっているのです。
そして、もうひとつ大切なことは、目の前で「ありがとう」と言ってくれる人の、うしろにいる人たちからも「ありがとう」を言ってもらえるように意識すること。彼らのぶんまで意識すると、もらえる「ありがとう」の数も必然的に増えますよね。
「ありがとう」の数が増えると、売上も増えます。
知人のフリーランスの方は、「1日に3回は、『ありがとう』と言ってもらうこと」を目標にしているそうです。その方を見ていると、次々とまわりから仕事が入ってきている。やはり、「お金は『ありがとう』の総和」というのは、正しいようです。