ピザを「機会食」から「普段食」へ
さらにドミノ・ピザが、長年にわたって業界の常識を覆してきたことも大きい。
1枚で4種類の味を楽しめる「クワトロ・ピザ」や、Webから注文を受け付けるECサイトの導入、モバイルから簡単に注文できるアプリ「Domino’s App」の展開など、他社に先駆けた打ち出しを行ってきたことで、独自のポジションを確立させてきた。
ライリーさんは「業界の主導権を握り、時代の変遷に合わせてお客さまが求めるピザの需要喚起を促してきた」と話す。
「ピザといえばゴールデンウィークや誕生日パーティー、クリスマスなどの『機会食』として注文するのが定番でした。でも、これだとオケージョンシーンが限定されてしまい、競合他社とのシェアの奪い合いになるのは目に見えています。そこで、ピザを季節や特別な日にだけ食べる『機会食』から、普段の生活のなかで日常的に食べる『普段食』として浸透させていく必要があると考えています。特に、昨年からのコロナ禍でデリバリー&テイクアウト需要が増えたのを機に、お客さまのライフスタイルに合わせた商品の展開や、普段から注文しやすい価格設定などを行ってきました」
最低注文金額を撤廃、単身世帯の需要に応える
コロナ禍における飲食店の時短営業や在宅勤務の常態化で、消費者志向の変化も生じている。
テイクアウトやデリバリーといった中食の利用が活況となるなか、ドミノ・ピザは「新しい生活様式に伴う顧客ニーズに応える施策を行っている」と説明する。
「コロナ禍で変わったのは、ファミリー層だけではなく単身世帯のお客さまも、ピザを注文する機会が増えたことです。外出しづらい社会情勢ということもあり、デリバリーニーズは業界全体で高まったと言えます。しかし、従来ではピザをデリバリーする際に最低注文金額が決められていて、これが単身世帯のハードルとなっていたのです。
そこで昨年5月から『デリバリー最低注文金額の撤廃』を行い、値段を気にすることなく、気軽にピザを注文できる環境を整えました。さらに、8月からは『Drop & Go(ドロップアンドゴー)』という置き配サービスを始め、いつでも好きな時にピザが受け取れる仕組みを導入しました」