ビジネスプランを浸透させる店舗独自の取り組み

現場の意見のインプット作業は毎年2月に始まり、5月の連休明けまでに年度のビジネスプランを仕上げる。

目指すべき方向性が決まると、今度は再び店舗ごとに方向性を共有し、落とし込んでいく作業が始まる。

「プランの実現に向けた細かいアクションプランを店舗あるいは職場ごとに落とし込んでいきます。ストアマネジャーが中心となり、全社員にわかりやすく伝えていく」(下風マネジャー)

当然数字の話も入る。一つの店舗には350人から550人の社員がいる。それをどんな方法で個人レベルにまで落とし込んでいくかは、各店舗の裁量に委ねている。

「全員に対して『これがビジネスプランです』と、一方的に言うだけでは伝わらない。店舗ごとにどのようなやり方をすれば、社員のモチベーションが上がり、発奮するのかを考えてやる。たとえば、少人数単位で2時間のワークショップを開催するところもあれば、店舗の全員が集まるキックオフミーティングのイベントを実施するところもある」(下風マネジャー)

全社員を巻き込んだボトムアップ型の取り組みには、もう一つある。2300人の全社員を対象にした年一回の企業風土改革のための調査だ。たとえば「あなたはいつも成長しているという実感を持っていますか」「コミュニケーションが十分にできていますか」「仕事を遂行するうえで必要な情報やツールなどにアクセスしやすい状況にありますか」という様々な質問を投げかける。内容は同社のビジョンから経営トップ、店舗や職場の上長のリーダーシップに対する評価など多岐にわたり、入力作業に30分も要する。また、結果は全員にフィードバックされ、それに基づいた改善に向けた議論が職場単位で実施される。

期間は毎年6月から10月にかけて行われ、マネジャーは議論への参加が必須になっている。

「マネジャーは丸1日かけるワークショップに全員が参加する。たとえば前年度比較において評価が高いものがあれば、何が寄与しているのか、どのようにやったからよかったのかを全員で検証し、共有する。逆にアクションを起こしたけれども、あまり変化が見られない場合は、原因について徹底的に掘り下げるなど真剣なディスカッションを行っている」(下風マネジャー)