②降水確率100%だとどんな天気になるか
「線状降水帯」というキーワードもよく天気予報で目にするでしょう。線状降水帯は、集中豪雨をもたらす原因となる現象で、積乱雲が連なることで発生します。
ひとつの積乱雲がもたらす雨量は数10mmで、雲が風に流されれば通り雨で終わりますね。しかし、積乱雲が風上側で次々と発生して連なってしまうと話は別。狭い範囲の同じ場所で強い雨が数時間にわたって降り続き、雨量が100~数100mmにもなる集中豪雨が発生します。このとき、線状にのびた雨域や雨雲のまとまりのことを線状降水帯というのです。
ちなみに降水確率100%というのは、必ずしも大雨になるという意味ではありません。降水確率とは予報の対象地域で「その時間に降水量1mm以上の雨か雪が降る確率」のこと。たとえば降水確率30%なら「同じ状況が100回あったときに、およそ30回は1mm以上の雨や雪が降る」という意味になります。
強い雨でも弱い雨でも雨が降りやすければ降水確率は高くなります。大気の状態が不安定なときは、降水確率30%でも積乱雲が発達して狭い範囲で土砂降りの雨になることもあります。
③虹は半円ではなく、本当は丸い
雨上がりの空にかかる虹。しばしば僕たちに魔法のような絶景を見せてくれる虹ですが、本当は丸いことを知っていますか?
そもそも虹とは、赤から紫までの色が並んだ円弧状の光の帯。太陽の反対側の空で雨が降っているときに見られるものです。レイン・ボー(雨の弓)と呼ばれるように、雨のつぶのなかで光が曲げられ、虹色が生まれているのです。
虹は太陽とちょうど反対側の影のできる位置にあたる「対日点」と呼ばれる点を中心に、円の形をしています。僕たちは地上でその一部を見ているだけ。そのため、日の出・日の入りくらいの虹は半円に近く、太陽が高い位置にあると低い空だけに虹色が見えることがあります。
雨上がり、高層のたてものや橋の上、飛行機などからは対日点が見えやすく、丸い虹とであうスポットです。雨上がりのタイミングで、こんな雑談ができたらとてもロマンチックですね。
ちなみに、虹は7色のイメージが強いかもしれませんが、ドイツでは5色、台湾の一部では3色など虹の色のわけ方は地域によって異なります。
④「虹のふもとに行くこと」は絶対にできない
みなさんは、虹のふもとにたどり着きたいと思ったことはありませんか? しかし、残念ながら虹のふもとには永遠にたどりつくことはできません。
空を眺めている場所から見える虹の位置はどこにいても変わらないため、虹をいくら追いかけても虹に近づくことはできません。ふもとに行くことはおろか、虹をくぐったりすることすら絶対にできないのです。
少々専門的になりますが、その仕組みをお話しましょう。
虹が対日点を中心に丸い形をしていることは先ほど前ページでお話した通り。また、虹には主虹(内側が紫で外側が赤い虹のこと)副虹(主虹と色のならびが逆になった虹)という二種類があります。
我々が虹に近づけないことにこの主虹と副虹が大きく関係しています。
ある方向の地平線からちょうど反対側の地平線までを180度としたときの空の見かけ上の大きさを「視角度」と呼ぶのですが、虹が出る際、主虹と副虹はそれぞれ視角度で42度、50度の位置に現れます。
この視角度、どんなに動いてもこの角度を保ち続けます。見える虹の位置はどこにいても変わらないので、いくら追いかけても虹に近づくことはできないというわけです。
ちなみに、虹は太陽と反対側の空で雨が降っているときに現れやすいので、晴れ間が見えるけど局地的に雨が降っている「天気雨」のときが出会うチャンスです。レーダーの雨量情報を使って、雨雲の通り過ぎるタイミングで虹を探してみると、高確率で虹に出会えるようになります。