⑤「台風情報の予報円=台風の大きさ」ではない

ニュースで目にする台風情報。気象庁から発表されるものですが、あの白い丸の図の正しい読み方は知らない方のほうが多いのではないでしょうか。

まず、台風の進路を表す白い丸のことを予報円といいます。この予報円、なんと台風の大きさを表しているわけではなく、「予報された時刻に台風の中心がある確率が70%の円」を示しています。

言い換えると、予報円の外に台風の中心がくる確率が30%もあるということ。つまり、予報円が大きいときほど、台風の進路予報が変わりやすいということになります。白い丸は、台風の威力が大きさとは無関係。予報円が小さければ、高い確率で台風がその進路で進む信ぴょう性が高くなります。

ちなみに、進路予報に出てくる線は、台風の進路そのものではなく、予報円の中心をつないだだけのものです。

⑥「台風が温帯低気圧になったらもう大丈夫」ではない

台風の季節に、誰かに話したくなる豆知識をもうひとつ。9月など台風の時期にニュースで見る「温帯低気圧」という文字についてのお話です。

台風が温帯低気圧になったらもう大丈夫! ――気象情報を見てそういうイメージを抱く方が多いかもしれません。しかし、じつは台風は、温帯低気圧になってから再び発達することがあります。温帯低気圧に変化したからといってまったく安心はできないのです。

台風は温かい海面からもらう水蒸気などによって発達します。台風は、日本付近まで北上すると海面の水温が下がるので、海からもらう水蒸気が減り、衰弱していきます。北から寒気の影響が加わると、寒気と暖気の境目で前線を伴う温帯低気圧に変わります。

また、台風と温帯低気圧の違いは、その構造や発達するメカニズムだけで、中心気圧や風の強さでは区別しません。温帯低気圧は上空の西風や気圧の谷(気圧の低い部分)などの影響で発達し、台風から温帯低気圧になってからさらに発達することもよくあるのです。

ちなみに、台風や豪雨によって気象庁が臨時記者会見をするときはマジでヤバいと思ってください。

気象庁は大規模な災害が予想されるときやすでに発生していてもおかしくないときに特別警報を発表します。特別警報はこれまでに経験したことのないような異常事態で発表されるもので命の危険にかかわる危険な状況。もし、自分の地域がふくまれていたら本気で備えて事前に安全確保をしましょう。