天気の話は「つまらない雑談の典型」といわれることがある。しかし、そう決めつけてしまうのはもったいない。気象庁の研究機関「気象研究所」に勤める雲研究者の荒木健太郎さんは「天気は毎日の生活に密着しており、誰にとっても身近な話題。これからの季節に使える6つのトリビアがある」という――。

※本稿は、荒木健太郎『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

水滴に対する雨の下で透明傘
写真=iStock.com/Julia_Sudnitskaya
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天気の話は決してつまらない話ではない

ビジネスシーンに限らず、たわいもない会話が必要となるシーンに誰もがゲリラ的に出くわします。そういった大人の現場で、場つなぎ的に使われがちなのが天気の話。

もっぱら“雑談のつまらない話の例”として引き合いに出されることが多い天気の話ですが、僕からしてみればまったくの逆。天気ほどおもしろい話はありません。

お互いのことを深く知らず、共通の何かが見つからなかったとしても、どんな相手とも唯一の共通点となりうるのが天気の話。どうしてかといえば、天気は、僕たちの毎日の生活に密着するものであり、老若男女世界共通のものだからです。

今回は、「天気の話=つまらない話」という思い込みを一旦外していただき、大人のみなさんにも天気の話のおもしろさをお伝えしたいと思います。

①「ゲリラ豪雨」は昔からある現象

突然降る雨のことを近年「ゲリラ豪雨」と呼びますね。ゲリラ豪雨とは、積乱雲による局地的な雨。ゲリラ豪雨と聞くと、いかにも最近起こった危険な現象のように思えますが、じつは昔からある現象で、古くから「通り雨」や「夕立」、「驟雨しゅうう」と呼ばれてきたものなのです。

積乱雲の寿命は30分~1時間ほどしかなく、横方向の広がりは、数km~十数kmくらいと意外とミニマムなのも積乱雲の特徴です。この積乱雲が短時間で移動し、真上にやってきたときに突然雨が降り出すのが「ゲリラ豪雨」と呼ばれるもの。ザーッと降り、通り過ぎるとけろりと雨が上がるのはこのせいです。

「ゲリラ」には予測が難しいという意味合いもありますが、レーダーの雨量情報で積乱雲の位置や動きをチェックしておけば、「もうすぐこっちに来そうだな」とわかることがあります。ぜひ空の変化を気にしながらレーダーを上手く使って、「ゲリラ豪雨」を「ただの通り雨」にしましょう。