代わり映えしない冷食にイノベーションを

実は私は、マーケティングの仕事でずっと冷食に関わってきました。冷食というものをブレークスルーさせたいと昔から思っていたのです。しかし冷食コーナーを見にいくと、どうも代わり映えしない。やっぱりメインはチャーハン、餃子にお弁当のおかず。せいぜいパスタの種類が増えたくらいで、価格帯も200~300円台のものがほとんど。

しかし、おせち料理や地方の名産品などを取り寄せると、冷凍された状態で届きます。カニのような高額商品が冷凍で送られてきても、「なんだ、冷凍かよ」とはならない。

ということは、冷凍という保存方法そのものが悪いわけではない。おそらくスーパーなどの量販店で売られている、いわゆる「冷食」に、「安物」「おいしくない」「手抜き」といったイメージが結びついているだけ。なんとかして、これを打ち破れないか……。

冷凍食品売り場
写真=iStock.com/danielvfung
※写真はイメージです

そんなときに出てきたのが、この新しい売り場です。

ギラギラ派の「チャーハン・餃子」とは違った“そっけない”冷食

縦型の冷凍ケースの中をよく見ると、肉売り場なら1キロ、500グラムといった塊肉が売られています。あとは馬刺し、ラム、ホルモンなど、買う人が限られていて、生肉で仕入れたらロスが生じそうなものが並んでいる。加熱するだけで食べられる冷凍調理キットは、具材を透明な真空パックに包み、シンプルな文字だけのラベルが張ってあるものがほとんど。一般的な冷凍食品のパッケージが「ギラギラ」しているのに対し、あえて素気ない包装にして、中身が見えるようにしているのがオシャレな印象です。

こう言っては何ですが、いままでの冷凍食品はパッケージの調理例写真は豪華だけれど、袋をあけたらしょぼい具材がパラパラと入っているだけ、といったことも少なくありませんでした。しかしこうやって中身を見せると「ちゃんと牡蠣が3つも入っている」などと視認できる。もちろん値段はそれなりですが、このほうが納得して買えるということでしょう。