テレビのCMやインターネットの広告で炎上が起きるのはなぜなのか。クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏は「炎上するのは世論が厳しいからではなく、想像力不足で人を傷つけているという判断ができていないから。私にも痛恨の思い出がある」という――。

※本稿は、鹿毛康司『「心」が分かるとモノが売れる』(日経BP社)の一部を再編集したものです。

カスタマーセンターの電話
写真=iStock.com/Chainarong Prasertthai
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「世の中が厳しくなった」のではない

ネットやSNSの普及によって炎上問題が大きくなっています。この炎上対策ですが、お客様の心に相談することで解決できるのではないかと思っています。

炎上は気の毒な炎上と、当然な炎上に大別できます。炎上時、関係者は「世の中厳しくなってきたからなあ」と世の中のせいにしがちです。思うに、世の中が厳しくなったのではなく、真っ当な社会になったのです。昔は少々の差別を大目に見ていたものを、やっぱり人は平等であるべきだというように、社会が正常になっていると理解すべきでしょう。

クリエイティブと一言で言っても、その種類によってお客様が評価する厳しさの度合いが異なります。お客様が自分の意思でお金を払って見るもの、例えば映画では、殺人シーンが描かれていても、怒る人はほとんどいないでしょう。

一方で無料のコンテンツは厳しくなります。地上波のテレビ番組は映画に比べて厳しさが増しています。それでも、自分の意思で番組を選ぶので、制限の中で殺人シーンが許されます。無料コンテンツで最も厳しいのは広告です。殺人は絶対に許されません。

ほとんどは勉強不足と準備不足にある

それほど厳しい理由は、第1にそのコンテンツは、見る人の意思に関係なくお金の力で見せてしまうからです。自分の意思で見たくないものが目の前に飛び込んでくると、腹立たしさも倍増するから厄介です。制限がかかってしまうのも致し方ないと割り切って向き合うしかないでしょう。そういう種類のクリエイティブだという自覚が必要です。

表現の制限がある広告で炎上が起きる原因のほとんどは勉強不足と準備不足だと断言します。広告を作るうえでは著作権・肖像権、出演者や製作者との契約があります。ここを考慮しない炎上がいくつかありました。これは正直、論外な話だと思います。

次に表現するに当たって公正取引の表示法というものがあります。これもルールですので守るしかありません。これに違反して炎上しているものをときどき見かけます。残念ながらネット広告は炎上していなくてもグレーなものが数多くあるように思います。