マスクは2800億枚、ワクチンは80カ国以上に提供

朝日社説は「台湾のコロナ対策は、当局の積極的な情報公開によって市民の自発的な行動を促し、効果をあげてきた。国際社会がその経験を共有できないとすれば、大きな損失でもある」とも指摘する。台湾は変異ウイルスの流行前の段階では感染対策に成功していた。その台湾から学ぶところは多い。

朝日社説はこうも指摘する。

「世界がパンデミックに陥って以降、中国は『マスク外交』や『ワクチン外交』と呼ばれる積極的な国際援助で注目を集めてきた」
「マスクは2800億枚、ワクチンは80カ国以上に提供してきたという。先進国と一線を画した中国式援助を歓迎する発展途上国が多いのは事実だろう」
「ただ、それが一部で指摘されるように、台湾との距離をとるように踏み絵を迫るものならば、恥じるべきことだ」

中国政府は「マスク外交」「ワクチン外交」で思うように他国を動かしてしまう。恩を着せて見返りを得る。ここに習近平政権の本質がある、と沙鴎一歩は考える。

「国際防疫体制のために日本は積極的な役割を果たせ」と読売社説

6月2日付の読売新聞の社説は「WHO総会 体制強化へ日本の役割は重い」との見出しを付け、こう書き出す。

「新型コロナウイルスの惨事の再来を防ぐには、世界保健機関(WHO)の強化が不可欠だ。国際防疫体制が機能するよう日本は積極的に役割を果たさねばならない」

沙鴎一歩も前述したが、WHOの機能強化は必須である。少なくともこれまでの中国寄りの姿勢を反省し、中国の操り人形になることは避けなければならない。そのためには中国と親密な関係にあるエチオピアで保健相や外相を務め上げ、中国の後押しによって事務局長に選ばれたテドロス氏を更迭するべきである。

読売社説はその中盤でこう書く。

「当面の課題は、先進国・新興国と途上国のワクチン接種の深刻な格差である。WHOのテドロス事務局長は『世界で行われたワクチン接種の75%が10か国に集中している』と危機感を示している」
「途上国の感染を抑えられなければ、世界的な封じ込めも経済活動の正常化も見込めない。先進国は余剰ワクチンの提供を進め、途上国向けの国際供給の枠組みを確実に機能させることが重要だ」

いつも感染症対策の大きな障害となるのが先進国と途上国との格差である。ワクチンも例外ではない。余剰のワクチンがある国は不足する国に回すべきことは当然の行為である。ただし、中国のような打算的な「ワクチン外交」は許されない。