台湾はワクチンの輸入も中国に妨害されている

読売社説も朝日社説と同様に台湾が参加できない問題に言及する。

「先進7か国(G7)をはじめ、多数の国が支持したにもかかわらず、台湾は中国の反対で、5年連続で総会に参加できなかった」
「感染症対策に地理的な空白を生じさせてはならない。台湾は、ワクチンの輸入も中国に妨害されているという。人命に関わる問題で政治的圧力をかける中国の手法は断じて認められない」

5年連続の不参加は異常だ。中国・国家主席の習近平氏が大きな権力を持つようになってから台湾に対する脅しと圧力が激化している。習近平氏は台湾を中国の傘下に完全に組み入れ、アメリカに対抗することを狙っているのだろう。

「武漢のウイルス研究所からの流出説」を再調査するべきだ

次に読売社説はウイルスの発生源の特定について触れている。

「バイデン米大統領は、動物由来説と、武漢のウイルス研究所からの流出説について、どちらも確証が得られていないとして、米情報当局に追加調査を指示した」
「WHOが現地調査の末、流出説を『最も可能性が低い』と結論づけたことに疑問を呈した形だ」

WHOの武漢での現地調査の報告内容はかなり中国寄りだった。現地調査には常に中国の関係者が同行していた。アメリカのバイデン政権による徹底調査に沙鴎一歩は期待したい。

最後に読売社説は「発生源の調査は、米中の政治対立と一線を画し、科学的に行われねばならない。WHOを中心とする国際的な再調査が必要ではないか。中国は受け入れるべきだ」と主張するが、中国寄りのいまのWHOには中立な科学的調査はできない。ましてや、中国に再調査を受け入れろと呼びかけても無駄である。

ここは世界の感染症対策を推し進めてきたアメリカがWHOの代わりに発生源の調査を行うべきである。日本や欧州などの民主主義国家は、アメリカの調査に協力していけばいい。

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