尖閣諸島では中国海警船が112日間も不法侵入を繰り返す

中国は台湾に対して防空識別圏(ADIZ)への侵入の繰り返しなど軍事的圧力をかけ、香港と新疆しんきょうウイグル自治区とともに絶対に譲れない「核心的利益」に挙げている。香港では民主派が当局の暴力行為と強権的な法制(国家安全維持法)で封じ込まれ、新疆ウイグル自治区では少数民族に対するジェノサイド(集団殺害)が問題になっている。

世界保健機関
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日本の固有の領土である尖閣諸島(沖縄)周辺の日本の領海では、中国海警船が不法な侵入を繰り返し、日本漁船を追い回して排除し、一方的に領有権を主張する。海警船は2月13日から6月4日現在まで112日も間続けて航行。日本政府が9年前に尖閣諸島を国有化して以降、最も長くなっている。アメリカと対立する中国は尖閣を盾に地理的な軍事優位性を確保しておきたいのだろう。

沙鴎一歩は「ウイグル問題を『今世紀最大のウソ』と反発する中国を野放しにすべきではない」(4月24日付)などの記事で、中国・習近平(シー・チンピン)政権の覇権主義的行動を強く批判してきた。

なぜ、孔子や孟子、老子という世界に冠たる思想家を生んだ中国が覇権主義に陥るのか。日本や欧米の民主主義国家と違い、共産党1党独裁の中国は政治的バランスに欠けるからだ。それは人民の幸福よりも共産党の繁栄が優先される政治体制を見ればよく分かると思う。

中国は今年7月に「中国共産創設100年」を迎える。100年というその節目を利用して内政的には共産党の優位性を人民に示し、外交的にはアメリカに屈しない姿を世界にアピールしたいのである。

「中国は台湾の排除をやめるべきだ」と朝日社説

5月30日付の朝日新聞の社説は「WHO総会 中国は台湾排除やめよ」との見出しを立て、「感染症対策は国境を越えた地球規模の難題である。大国の思惑で特定の人々や地域を排する行為は許されない」と書き出し、こう主張する。

「感染症対策をめぐり空白地域をつくるのは、だれの利益にもならない。中国は台湾の排除をやめるべきだ」

中国による台湾の排除は露骨である。台湾は中国政府の横やりでワクチンの入手も難しくなっている。日本は余剰分のワクチンを台湾に提供することを決めたが、これは日台の連携強化につながり、間違いなく中国にとって痛手となるはずだ。

こうした施策を続けることで、日本は中国に圧力を加え、覇権主義的行動を封じ込めるべきだ。もちろんそれには欧米の民主主義国家との協力も欠かせない。

中国の「台湾は中国の一部で、WHOへの加盟やオブザーバー参加は認めない」との言動に朝日社説はこう釘を刺す。

「しかし、これは台湾の人々の命に関わる問題である。中台の政治問題を持ちこむのは人道上容認できない。『最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権』と誓うWHO憲章にも反する」

中国のやり方は「非人道的」で「基本的人権」を無視している。国際社会が一丸となって強固な中国包囲網を築き上げ、中国の習近平政権をいさめる必要がある。