「資産運用セット」で人生設計を狂わされないためにすべきこと

――B氏のケースも本当に残念な話ですね。老後の人生設計が狂ってしまったってことですものね? 自分がよくわかっていないままに目先の利益に目がくらんでしまってはいけないっていうことなんですね。こういった例は世の中にはたくさんありそうです。

【藤原】そうなんですよ、このケースのような「資産運用セット」といった特別キャンペーン金利の定期預金と投資信託の抱き合わせ商品はどの銀行でも用意してあります。都銀を始め地銀や信金のホームページを検索してみれば必ずといってよいほど紹介されているのがわかります。

——被害を受けたとするB氏が行動すべきことは何ですか?

【藤原】まずは「キャンペーン商品には気をつけろ」ですね。キャンペーンを張るということは、つまり銀行はそれで「稼ぎたい」わけで、稼ぐためのしかけが潜んでいると考えるべきです。投資信託を購入する際には手数料がかかるものしか選べないようになっています。その手数料は2~3%の場合が多く、定期預金の“お得”なキャンペーン利息を上回る額に設定されていることが多いのです。ということは銀行の懐は最初から傷まない仕組みになっているのですよね。

そんな商品を用意して売り込む金融機関もどうかと思いますが、こちらとしても賢くならないといけないということです。

ペンと契約書を顧客に渡す
写真=iStock.com/Jirapong Manustrong
※写真はイメージです

「預金のまま置いておいても増えませんよ」が常套文句

——う~ん、素人にはなかなか厳しいものがありますね。お年寄りだけでなく、お金の知識があるとは言えない私のような人はどうしたらいいのでしょう?

【藤原】これは、ある程度、金融知識を持っておかないと、いいように言いくるめられてしまいがちです。ただ、前回、「真に顧客第一主義の銀行員」なのかを見極める方法をお伝えしましたが、それと同時に「銀行窓口での作法」ともいうべき攻略法があるので、そちらをお教えしましょう。

それは「銀行の窓口では提案されるな、自分から提案しろ!」ということです。

まず、銀行の窓口で提案されるのは「預金→投資信託」か「預金→生命保険」への乗り換えです。いずれも「預金のまま置いておいても増えませんよ」が常套文句です。

そういうものだとわかっていれば、うかつに話に乗せられることは防げると思います。

かといって、危ないから何もしないというのもこの長寿社会においてはリスクです。低金利時代にお金を長持ちさせるには「資産運用」は必須といっても言い過ぎではありません。だからこそ、自分に合った「資産運用」を考えて、それを銀行の窓口で提案するわけです。

では、自分に合った「資産運用」とは何でしょうか。それには3つの方針を立てると見えてきます。