素早い“ピボット”でコロナ苦境を乗り越えた会員制和牛レストラン
僕たちが手掛けている会員制和牛レストラン「WAGYUMAFIA」は、2020年初頭まで好調に事業を伸ばし、世界展開も視界良好だった。だが、コロナ禍によってすべてに急ブレーキが掛けられた。海外でのポップアップイベントはすべて中止、3月には創業以来、初めての赤字を計上してしまった。いくつも新企画を準備していたので、本当に悔しかった。
けれど、負けてはいられない。テイクアウトやECの導入、店舗のスマート化など、素早い“ピボット”で、ひと月で採算を元に戻した。
どんな苦境にあっても、外部環境のせいにはしない。僕らは最強の「食」という非言語で世界に向けて勝負している自信がある。だから決して、挫けない。
大事なのは創意工夫と実行力で“やりきる意志”
苦しい環境の中で、変わりながら、やりたいことをやりきる! その意志で、コロナの収まらない現在も、「WAGYUMAFIA」では攻めの姿勢を崩さず、新たな試みを打ち出し続けているのだ。
その典型的な例として、2021年の春、東京の外苑前に、新業態となる和牛のジンギスカンのお店を出した。その名も「WAGYUJISKAN」だ。ジンギスカンといえば羊肉が定番だが、遊び心で和牛を使ってやってみたら、めちゃくちゃ美味しかった。「WAGYUMAFIA」で仕入れている「久松農園」の野菜や「大鰐温泉もやし」が、最高にフィットする。そして新店舗では、完全オリジナルのジンギスカン鍋を導入予定だ。
神奈川県にある由紀精密という、宇宙ロケットの部品などを製造している精密加工メーカーと共同開発した、特製の鍋だ。精密加工メーカーの環境下で、熱効率や脂の垂れ方などを計算し尽くした、オリジナルな形状を完成させた。2021年以降も、たくさんのお客さんに店舗に来ていただき、ここだけの最高のジンギスカン鍋を堪能してほしいと思っている。
また、「WAGYUJISKAN」の宅配セットも開発した。店舗で使っている野菜と脂、肉、麺がセットになった、世界で唯一の商品だ。
飲食業には厳しい時代ではあるが、そんな時代に業績をアップさせるには、このような創意工夫と実行力で“やりきる意志”が何よりも大事なのだと思う。