発達障害の当事者で、コーチングのプロの銀河さんはかつて、長いメールを時間をかけて書くことが日常化していました。そんな銀河さんが、短くわかりやすいだけでなく、相手の懐に入り込むためのメールを短時間で書く方法、共感されやすい話し方のコツを伝授します――。

※本稿は、銀河『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

幸せな笑顔のペーパーカット
写真=iStock.com/ThitareeSarmkasat
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メールは「手抜き」くらいでちょうどいい

メールの文章を作成しているとき、「詳しく伝えたほうが親切」「メールひとつで、やる気や熱意を見られている」と考えながらキーボードを叩いていると、長々としたメールになりがちです。

特に言語性IQが高いASD(自閉症スペクトラム障害)のある人は、「自分の持っている情報すべてを説明しないと気が済まない」といった特性を持っている人が多いです。それゆえ、過程を含めて細かく書きすぎてしまい、発達障害でない人と比べると、どうしてもメールが長文化しやすい傾向にあります。

丁寧に書くことは決して悪いことではありません。ただ、あまりにも長いと、読み手の返信する気力を削いでしまうリスクがあります。むしろ、その丁寧さに“ほんの少しの適当さ”を混ぜるだけで、グッと読みやすくてわかりやすいメールを書くことができるようになったりもします。

ここでは、私が今でも実践している効果的で、かつ適当(!)なメール術をいくつか紹介します。

わからないことがあれば質問してくる

まずは、「相手から質問がくること」を前提にメールの文章を作成することです。

初めて一緒に仕事をする人や付き合いの浅い人とメールのやり取りをする場合、「こちらが伝えたいこと」と「相手が知りたいこと」が完全に一致することは稀です。ですので、細かい点は削除して、結論と要点のみを箇条書きにして送るようにします。

実際、ビジネスでは毎日何十通ものメールをチェックすることが当たり前だったりします。なので、誰しも、「長々とした文章ではなく、用件だけを簡潔に知りたい」というのが本音です。不必要な言葉が多く無駄に長い冗長表現が満載の文章をちゃんと読もうとは思っていません。だからこそ、結論と要点のみでOKなのです。

もしも、相手側にとって他に知りたい情報があれば、「これについてはどうでしょうか?」と何かしらの質問メールが届くはずなので、詳しいやり取りはそれからでも十分と言えるでしょう。

この適当さがもたらしてくれる恩恵は、端的に短く書いているので、必要な情報が受け手に伝わりやすいこと。また質問を通して、相手の求めている情報のレベルを把握できることにあります。少し手間はかかりますが、やり取りの回数を重ねることで親密度が深まるという点も大きいです。そして、当然ながらメールを書くための時間がだいぶ削減されるので、時短効果も十分です。