台風の影響で400万円飛ぶ

【萩原】僕もまさに、台風19号がきて畑が壊滅的な被害を受けたときに本を書くことを思いついたんですよ。10月のことで、1日に500ミリくらいの雨が降って400万円くらい飛んだんです。で、冬に売るものがなくなっちゃったから「本とか書いちゃおうかな」と思った(笑)。

起きちゃったことは変えられないけれど、その価値をあとから塗り替えることはできると思ったんです。農場のメンバーと、「これをきっかけに本を出せたら、『あの台風が来て、時間ができたから本が書けたね』って言ってやろうぜ」って言ってたんですよ。

【長尾】「畑がダメになった。それはちょうどいい。本でも書くか」って。

【萩原】そうなんです。

起きた出来事を無条件に受け入れるしかない仕事

【長尾】畑仕事って、起きている出来事を無条件に肯定するしかないですよね。「なんで、そんなに雨降るんだよ!」って空に向かって怒る人はいないですからね。困ったことでも無条件に受け入れるしかないっていうのが、農家の強さかなと思います。

【萩原】僕が農業を始めて2年目、7月の終わりにひょうが降ったんですよ。すごく大きな雹で、畑がボロボロになったのを見て「このあとどうすりゃいいんだろう」と思ったんですけど、他の農家さんはすぐ種を蒔くんですよね。すぐに「次行こう」って。「すげえな、これが農業なんだな」って思いました。

【長尾】やり直すということですよね、何回でも。

【萩原】そう。やられちゃったことを勘定なんてしてる時間はないんだ、ということです。

(構成=やつづかえり)
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