リスクには三つの原則があって、リスクアセスメント、つまりリスクを評価する、どれくらい危険か、どういうことをしたら危険度が高まるかという評価をし、リスクマネジメント、それをどう管理するかというのがあって、最後にリスクコミュニケーション、どう伝えていくかという3本柱があって成り立ちます。
リスクを評価し、それに対して科学的根拠に基づいた政策を提示し、それを周知徹底させる。その点が日本ではとてもあいまいです。
日本の弱点、克服の契機に
BSEをきっかけに食品分野では、このリスク問題に取り組んできました。食品安全委員会がリスク評価を、厚生労働省、農林水産省がリスク管理をという分離がなされましたが、リスクコミュニケーションが得意ではありません。
そこで吉野家の安部社長(当時)と日本フードサービス協会の加藤一隆専務(当時)が音頭をとり食の安全・安心財団が設立されました。現在では「食の安全」に関する羅針盤として、そのミッションを十二分に果たしています。
コロナにおいても、ワクチンも開発され、いずれ収束していくことでしょう。
でも、そのあと、総括をし、リスク評価、管理、さらに科学的根拠に基づいた政策を提言し、それを周知させるための仕組みを確立していくことができなければ、今後同じようなパニックを起こすことになりかねません。
同じように、今後総括が進み、次なるパンデミックに備えていくことを切に願います。