「意思疎通のチャンネルを広げる必要がある」

朝日社説はさらに書く。

「一方で、自衛隊の速やかな出動に向けた法整備などを求める声も一部で出ているが、過剰反応は慎むべきだ。冷静な議論を慎重に進めなければ、中国側の挑発にのせられて事態を悪化させることにもなりかねない」

朝日社説は「過剰反応は慎むべき」と自衛隊への期待に待ったをかける。一触即発の危機や偶発的な衝突を避けることは重要である。ただし、「自衛隊出動の法整備」を議論することが中国の動きを封じる抑止力につながることも忘れてはならない。要は冷静さを失わないバランス感覚で中国に対応すべきだと思う。

朝日社説は続けて、「中国に強い懸念を直接伝えると同時に、意思疎通のチャンネルを広げる必要がある」と書く。これは重要な指摘だ。

「中国政府の侵略の道具といえる」と産経社説

2月14日付の産経新聞の社説は書き出しからこう批判する。

「中国海警局(海警)の権限を定めた海警法が施行された」
「これにより、中国政府が、中央軍事委員会傘下の『第二海軍』としての海警に、法執行機関の行動であるかのように偽らせて尖閣諸島(沖縄県)や南シナ海の島々を奪い取る恐れが高まった」
「国際法に明らかに反する内容で、中国政府の侵略の道具といえる。中国は海警法を取り下げなくてはならない」

「奪い取る恐れ」「侵略の道具」と中国嫌いの産経社説らしさがストレートに出ている。

そんな中国に日本はどう対処すればいいのか。産経社説は「菅義偉首相は危機の段階が上がったことを踏まえ、尖閣を守り抜く具体的方策を講じるべきだ」と政権に注文する。