日経平均株価が30年ぶりに3万円の大台を超えましたが、まだ上がり続けるのだろうか? これから、新たに投資するとしたら何を買うべきか? 世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏に聞いた——。

アメリカでは確実にバブルが発生している

——世界的に株高が続いています。日経平均もこの2月、30年ぶりに3万円を突破しました。これはいわゆるバブルなのでしょうか?

最近の世界の金融市場は、長期間続いた強気相場の最終局面に達していると考える。米国に関しては確実にそうだが、日本や中国では強気相場がもっと続く可能性がある。日経平均3万円超えも十分予想の範囲内だ。アメリカや他のエリアでは確実にバブルが発生している。なぜならアップルやサムソンなどの株価が日々上昇し、相場に新たな参加者が続々と表れているからだ。こういった現象は常に強気相場の終わりに見られるもので、歴史は繰り返す。

「バブル崩壊前に最後の巨大バブルがやってくる可能性がある」と語るジム・ロジャーズ氏。
撮影=Luxpho(Takao Hara)
「バブル崩壊前に最後の巨大バブルがやってくる可能性がある」と語るジム・ロジャーズ氏。

私は今年の終わりまでにはこのバブルが崩壊すると予測している。しかし、その前には最後の巨大バブルがやってくる可能性が高い。歴史をさかのぼれば、最後の巨大バブル時に新規投資家が新たに参入してきた。もともと投資に興味がなかった彼らが「お金を稼ぐことがどれだけ簡単か」と言い始めたら、バブルが弾けるタイミングだろう。そしてバブルが破裂すれば大勢の投資家は損をして、後悔と共に「二度と投資はしない」と言い始める。その時が株を買うべき絶好のタイミングだろう。

——今の株高は実体経済を反映していないようですが。

金融市場と実体経済は稀に同じように動くが大抵別の動きをするものだ。理論的には金融市場は将来を見越しており、現在価値に割り引かれている。よって、現状が酷い時に株を購入すれば成功するチャンスが高く、逆に現在の環境が素晴らしい時に売れば成功するだろう。よって今現在、投資家は将来を見越しており、将来が有望だと期待している。

2020年はコロナの影響で最悪だったが、中央銀行の量的緩和などを受け、前年対比で今年は確実に良くなるはずだ。しかし、それがいつまで持つかは定かではない。

株式、債券市場は歴史的に割高な水準であり、私は大半の国の債券を買おうとも思わない。債券はここまで低金利になったことはなく、株も前述のアップルやサムソンに加え、テンセントなど下がる事がない銘柄が出てきている。こういう株は決して魅力的ではない。しかし世界経済は、今年反発して、政府・中銀はさらにお金を刷り続けるだろう。大量の資金が相場に流入すると、マネーはどこかに向かわないといけない。工場や高速道路を作るには時間がかかる。しかしネットで株を買うには30秒しかかからない。なので大量の紙幣が刷られる中、設備投資という時間がかかるものではなく、瞬時にできる株式投資などにお金が回っている。こうやってバブルは発生するのだ。これは、何世紀も続いている現象で、今も同じ事が起きているだけだ。